
担当する利用者が終末期に入り、看取りのケアプランをどう書けばよいのか悩んでいませんか?年に数件しか経験しない場面では、回復を前提にできない目標の言葉選びから迷うところです。
この記事では、看取りケアプランの基本と作成手順を整理したうえで、第1表・第2表の文例や関わる加算の要件、避けたいNG表現まで解説します。
この記事を読めば、担当ケースに合わせて第1表・第2表を書き進められ、加算の要件まで迷わず確認できるでしょう。
※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。単位数と要件は2024年度(令和6年度)改定後の現行制度に基づくもので、令和9年度の次期介護報酬改定に向けた審議が進んでいます。
看取りケアプランとは
看取りケアプランは、終末期を迎えた利用者に向けて作る居宅サービス計画の実務上の呼び名です。国の告示や通知が定めた様式名ではなく、実際に書くのは通常と同じ第1表・第2表になります。
通常のケアプランとの違い
最も大きな違いは、目標の置きどころです。通常は自立支援や機能の維持・向上を目指しますが、看取り期は苦痛の緩和とその人らしい過ごし方が軸です。
背景には、国の記載要領が目標を「実際に解決が可能と見込まれるもの」と定めている点があります。終末期に入った利用者へ改善を目標に据えると、この原則から外れてしまいます。
一方、様式そのものは変わりません。使うのは通常と同じ第1表・第2表で、記載要領も共通です。
通常のケアプランと違う点は、見直しの実際の頻度です。モニタリングの要件は看取り期も通常と同じで、月1回以上の面接と記録が必要になります。
ただし、厚生労働省のガイドラインはご本人の意思が変化しうるものだと示しています。要件の月1回を待たず、状態が変化したらその都度見直す運用になるでしょう。
参考:介護保険最新情報Vol.1286居宅サービス計画書標準様式及び記載要領(改正後全文)|厚生労働省
施設の看取り介護計画との使い分け
居宅と施設では、看取り期の計画に求められるものが異なります。居宅は運営基準に基づく居宅サービス計画を作りますが、施設は運営基準の施設サービス計画に加え、加算を算定する場合は多職種で共同作成した計画への同意が要件になります。
施設側の根拠は、平成27年厚生労働省告示第94号です。医師や看護職員、介護支援専門員などが共同で作成した入所者向けの介護計画に同意を得ている状態が、算定の前提になります。
実務では、この書類を「看取り介護計画書」と呼びます。ただし、国の通知が定めるのは「看取りに関する指針」までで、様式名までは示されていません。
担当する利用者が特別養護老人ホームへ入所すれば、作成主体は施設へ移るため、どちらの立場で書くのかを先に確かめましょう。
参考:厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年3月23日厚生労働省告示第94号)|厚生労働省
看取りケアプランの作成手順
看取りケアプランの作成は、通常のケアマネジメントと同じ順序で進みます。違うのは、限られた時間のなかで意向の確認と合意形成を先に固めておく点です。
ここでは、アセスメントから担当者会議までの4つの段階を順に見ていきます。
本人と家族の意向を確認する
最初に実施するのは、ご本人とご家族の意向を分けて聞き取るアセスメントです。課題分析標準項目は2023年(令和5年)10月の改正で、No.7「主訴・意向」が利用者とご家族等に分かれました。
同じ改正では、No.23「その他留意すべき事項・状況」の例に「看取り」も加わっています。確認したい項目は、次のとおりです。
- ご本人とご家族それぞれの意向
- 痛みや服薬を含む健康状態
- 判断能力と認知機能の程度
- ご家族の介護力と負担感
話し合った内容は、ACP(人生会議)の記録としてその都度残しましょう。意思の確認ができないときは、ご家族等による推定意思を尊重すると国のガイドラインが示しています。
家族等にはご本人が信頼を寄せる方も含まれ、推定もできなければ何が最善かを話し合う流れです。独居の利用者ほど、日ごろの記録が判断を支えます。
参考1:介護保険最新情報Vol.1178課題分析標準項目新旧対照表|厚生労働省
参考2:人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン|厚生労働省
第1表に援助の方針をまとめる
第1表では、まず「利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」を記載します。記載要領は、意向が異なる場合は各々の主訴を区別して記載するよう定めています。
看取り期は「最期まで自宅で」と望むご本人と、急変を不安に思うご家族とで希望が割れやすい場面です。一つにまとめてしまうと、誰の望みを支えているのかが見えなくなります。
続く「総合的な援助の方針」は、チームでどう支えるかを示す欄です。記載要領は、緊急事態が想定される場合の対応機関や連絡先、対応方法まで記載するのが望ましいとされています。
義務ではなく努力規定ですが、急変が前提の看取り期こそ意味をもつ記載です。夜間や休日の連絡先まで書き込んでおきましょう。
参考:介護保険最新情報Vol.958居宅サービス計画書標準様式及び記載要領|厚生労働省
第2表に目標を設定する
第2表は、生活全般の解決すべき課題(ニーズ)から書き始めます。記載要領では、優先度が高いものから順に並べる決まりになっています。
看取り期は痛みや呼吸の苦しさが生活の質を下げるため、症状の緩和を上位に置く組み立てが自然でしょう。そのうえで、ご本人自身でできる範囲、ご家族の協力で足りる範囲、チームが支える範囲を分けて整理します。
目標に対する援助内容には、いつまでに誰が何をしてどうなるかを記載します。種別と頻度、期間まで落とし込んでおくと、担当者会議での確認が短く済むでしょう。
なお、緊急対応が必要になった場面は例外です。一時的にサービスが大きく変わっても、目標として確定しない段階では短期目標を設定せず、状態が落ち着いてから見直すと記載要領が示しています。
担当者会議を開いて同意を得る
原案ができたら、サービス担当者会議で担当者に専門的な見地から意見を求めます。運営基準はテレビ電話装置などでの開催も認めており、利用者やご家族が参加するときは活用への同意が必要です。
末期の悪性腫瘍の利用者は例外です。心身の状況などから必要と認める場合、主治医の医師の意見を勘案したうえで担当者への照会などに代えられます。
同意を得たあとは、モニタリングの間隔も決めておきましょう。特段の事情がない限り、月1回の面接と月1回の記録が求められます。
面接は原則としてご自宅への訪問です。文書での同意があり、心身の状況が安定しているなどの合意を担当者会議で得られれば、訪問は2か月に1回とし、間の月をテレビ電話装置などで対応できます。ただし、状態が変化しやすい看取り期は、この要件を満たさない場面もあります。
参考:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(老企第22号)新旧対照表|厚生労働省
看取りケアプランの文例
文例はそのまま写すためのものではなく、担当ケースへ置き換える下敷きとして使います。ご本人の言葉と、そこから導いた目標が結びついているかを見ながら読み替えましょう。
ここでは、第1表・第2表の書き方と時期に応じた目標の分け方を紹介します。
第1表総合的な援助の方針
課題分析の結果欄は、ご本人とご家族の言葉を分けて残す欄です。たとえば、ご本人は「痛みを抑えて住み慣れた家で過ごしたい」、ご家族は「急変したとき対応できるか不安がある」と、聞き取った主訴をそのまま書き写します。
総合的な援助の方針には、チームとして何をするのかを書きます。「ご本人の希望である在宅での療養を続けられるよう、訪問診療と訪問看護が連携して痛みの緩和にあたります」のように、担う職種と役割まで盛り込みましょう。
緊急時の記載も、ここに続けます。「呼吸の乱れや意識の低下がみられたときは、24時間対応の訪問看護ステーションへご家族から連絡していただきます」まで書けば、夜間の判断に迷いません。
第2表ニーズと長期・短期目標
ニーズと目標は、ご本人の状況によって組み立てが変わります。代表的なケースを並べると、次のとおりです。
| ケース | ニーズ | 短期目標 |
|---|---|---|
| がん末期・独居 | 痛みを抑えて自宅にいたい | 夜間も痛みで目覚めない |
| 老衰・家族と同居 | 家族と穏やかに過ごしたい | 好きな味を口から楽しめる |
| 急変への備え | 急変があっても自宅で過ごしたい | ご家族が連絡手順を説明できる |
長期目標は、これらをまとめて「住み慣れた自宅で穏やかに最期のときまで過ごせる」と置きます。短期目標は、その達成へ向けて踏むべき段階です。
急変時とご家族への支援は、看取り期のプランで見落とされる項目です。ご家族の不安を、ご本人が自宅で過ごし続けるうえでの課題として位置づけると、レスパイトや訪問回数の調整も援助内容へ反映できます。
時期別の目標の書き分け
看取り期は、同じ目標を最後まで使い続けられません。時期の考え方に触れているのは施設側の通知で、看取り介護加算の指針に盛り込む項目として「終末期の経過(時期、プロセスごと)の考え方」を例示しています。
居宅の計画に国の定めはなく、時期の区切り方は各事業所の判断です。施設・居住系向けの姫路市の手引きに沿うと、目標の置き方は次のとおりです(短期目標は本記事の作例)。
| 時期 | 区分の目安 | 短期目標の例 |
|---|---|---|
| 安定期 | 定期の更新時期 | 好きな時間をもてる |
| 不安定・低下期 | 衰弱傾向の出現・進行 | 痛みや息苦しさがやわらぐ |
| 看取り期 | 回復が望めない状態 | 家族に見守られて過ごせる |
状態が変化したら、長期目標も見直します。安定期の「自宅での生活を続けられる」を、看取り期には「苦痛の少ない状態で過ごせる」へ置き換えましょう。
看取りケアプランに関わる加算要件
看取りのケアには、居宅と施設それぞれに加算が用意されています。要件は書類の形式ではなく、意向の把握から訪問、記録までの一連の動きに置かれている点が特徴です。
居宅のターミナルケアマネジメント加算
居宅介護支援では、ターミナルケアマネジメント加算を月400単位で算定できます。対象は、あらかじめ届け出た事業所が支援し、在宅で亡くなった利用者です。
2024年度(令和6年度)の改定で対象疾患の限定は撤廃され、医師が回復の見込みがないと診断した利用者が対象になりました。告示が定める要件は、次のとおりです。
- 終末期の方針への意向を把握する
- 死亡日および前14日以内に2日以上訪問
- 心身の状況などを記録に残す
- 主治医と各事業者へ情報を提供
- 24時間連絡できる体制を確保
訪問は死亡日と、その前14日以内を合わせた15日間のうち2日以上が必要なため、状態が急に落ちてからでは間に合いません。回復の見込みがないと判断された段階で、訪問の予定を押さえておきましょう。
参考1:指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月10日厚生省告示第20号)|厚生労働省
参考2:第259回社会保障審議会介護給付費分科会資料6居宅介護支援・介護予防支援|厚生労働省
施設の看取り介護加算
特別養護老人ホームやグループホームなどで算定するのが看取り介護加算です。介護老人保健施設はターミナルケア加算になるため、施設種別を先に確かめましょう。
対象となるのは、医師が回復の見込みがないと診断し、多職種で作成した計画に同意を得たうえで、指針に基づく看取りの介護を受けている利用者です。
単位数は死亡日からの日数で変わります。介護老人福祉施設の(Ⅰ)を例にとると、次のとおりです。
| 死亡日からの期間 | 単位数 |
|---|---|
| 31〜45日前 | 1日72単位 |
| 4〜30日前 | 1日144単位 |
| 前日・前々日 | 1日680単位 |
| 死亡日 | 1日1,280単位 |
介護老人福祉施設の(Ⅱ)は前日・前々日が1日780単位、死亡日が1日1,580単位です。認知症対応型共同生活介護はこのような区分がなく、(Ⅰ)と同じ単位数で算定します。
参考1:介護報酬の算定構造(令和8年6月改定箇所)|厚生労働省
参考2:第260回社会保障審議会介護給付費分科会資料1介護老人福祉施設|厚生労働省
プランと記録への落とし込み
加算は、書類をそろえるだけでは算定できません。ターミナルケアマネジメント加算は、終末期の方針についてご本人やご家族の意向を把握したうえで訪問し、その内容を記録するのが前提です。
つまり、第1表に書いた意向と支援経過の記録がつながっている状態を作る必要があります。通知も、ACPのガイドラインを参考にしながら多職種で情報を共有するよう求めています。
支援経過に残したい内容は、次のとおりです。
- 訪問した日と同席した人
- 説明した内容とご家族の反応
- 把握した意向と変化した点
- 主治医や事業者へ渡した情報
運営指導では、ケアマネジメントの流れが基準どおり進んでいるかに力点が置かれます。プランと記録のつながりを、月ごとに確かめておきましょう。
参考1:介護保険最新情報Vol.1213新旧対照表|厚生労働省
参考2:介護保険施設等運営指導マニュアル|厚生労働省
看取りケアプランのNG表現

ここまでの手順どおりに書いても、記載要領に沿わない目標のままだと運営指導で見直しを求められる場合があります。特に看取り期は、通常のケアプランの表現をそのまま持ち込むと成立しない目標があるためです。
ここでは、修正前と修正後を並べながら2つの型を確認します。
回復を前提にした目標
最初の型は、改善や回復を前提にした目標です。記載要領は目標を「実際に解決が可能と見込まれるもの」と定めており、回復が望めない利用者に改善を求める目標は成り立ちません。
たとえば「体力が回復し、食事を全量摂取できる」は、看取り期には使えません。「好きなものを一口でも味わえる時間をもてる」のように、達成できる水準へ書き換えます。
「褥瘡が完治する」も同じです。「痛みや不快感がやわらいだ状態を保てる」と書けば、ケアの中身は変えずに目標として成立します。
書き換えの軸は、良くする方向ではなく保つ方向です。いまある状態をどこまで守れるかで書くと、時期が進んでも修正が小さく済みます。
本人の意向が読み取れない記載
もう一つの型は、誰の望みなのかが読み取れない記載です。記載要領は、抽象的な言葉を避けて誰にでもわかる内容で記載する必要があります。
「ご本人の希望を尊重します」だけでは、何を望んでいるのかが伝わりません。「最期まで自宅で過ごしたい」とのご本人の言葉を受け、訪問診療と訪問看護で在宅療養を支えると書けば、意向と支援がつながります。
ご本人とご家族をまとめて書くのも避けたいケースです。課題分析標準項目は利用者と家族等の意向を分けて記載するよう改正され、記載要領も意向が異なるときは主訴を区別すると定めています。
「ご本人・ご家族とも在宅を希望」と一行で済ませず、それぞれの言葉を残しましょう。希望が割れている事実こそ、チームで支える前提になります。
看取りケアプランでよくある質問
ここまでの手順や文例を担当ケースに当てはめると、判断に迷う点が出てきます。特に疾患ごとの違いと期間の置き方は、記載要領を読んでも答えが書かれていません。
最後に、現場から質問の多い2点にお答えします。
疾患によって目標は変わる?
疾患名だけで目標が決まるわけではありません。よりどころになるのは記載要領の原則で、目標は誰にでもわかる書き方で、かつ達成できる見込みのあるものと定められています。
変わるのは、目標の粒度と期間の置き方です。経過の見通しが立つケースでは期間を区切った目標を置けますが、状態が揺れ動くケースでは幅をもたせた書き方が適しているでしょう。
疾患で分類するのではなく、いまご本人が何を望み、どこまでできるのかを軸に整理します。がん末期でも老衰でも、目標を決める判断の軸は変わりません。
目標の期間はどう設定する?
記載要領は、原則として開始時期・終了時期の両方を記載するとしたうえで、終了時期が特定できない場合は開始時期のみの記載でも差し支えないとしています。予後が読みにくい看取り期に使える扱いです。
短期目標の期間は、長期目標へ近づく段階として区切ります。変化の早い看取り期は短めに刻むと、見直しのたびに大きく書き換えずに済みます。
期間を決めるときは、要介護認定の有効期間も判断材料です。残り期間を超える長期目標は、更新のたびに書き直す手間が増えるでしょう。
なお、課題や目標そのものを変えずに設定期間だけを延ばすときは、軽微な変更に当たる場合があります。
参考:居宅介護支援・介護予防支援・サービス担当者会議・介護支援専門員に係る項目及び項目に対する取扱い|厚生労働省
まとめ
看取りケアプランに専用の様式はなく、第1表・第2表を看取り期の状況に合わせて書き換えます。回復ではなく苦痛の緩和と過ごし方を軸に置き、ご本人とご家族の意向を分けて残す点がポイントです。
まずは担当ケースの第1表を開き、ご本人の言葉がそのまま残っているかを確かめましょう。次に第2表の目標を、いまの時期に達成できる水準へ変更します。
加算を算定する場合は、意向の把握から訪問、記録、情報提供までの流れを支援経過に残します。迷ったときはご本人の望みを起点に、プランを組み立て直しましょう。
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2022年に防災士の資格を取得、企業に対してBCP対策の支援。
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