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2026/08/26

BCP訓練の事例5選|夜勤帯・少人数体制の進め方や記録の残し方まで解説

ifny運営スタッフ

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BCPは作ったものの、訓練までは手つかずのまま年度が進んでいませんか?ほかの施設が実際に何をしているのかもわからず、シフト制で全員を集められない現場では計画を立てることすら難しいものです。

この記事では、介護のBCP訓練の位置づけと業態別の実施回数を整理したうえで、BCP訓練の事例を5つ、当日の流れとあわせて紹介します。夜勤帯を想定した進め方と、運営指導で示せる記録の残し方も解説します。

最後まで読めば、来月実施する1回分の中身と当日の進行、記録の残し方までを一続きで決められるでしょう。

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。

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介護のBCP訓練とは

BCP訓練は、業務継続計画に沿って災害や感染症が起きたときの動きを確かめる訓練です。2024年4月から、介護事業所には業務継続計画の策定と研修・訓練の実施が義務づけられています。

義務化されたとはいえ、防災訓練との違いや必要な回数がわかりにくく、準備が進まない施設も多い状況です。

ここでは、介護事業所におけるBCP訓練について詳しく解説します。

防災訓練との違い

防災訓練とBCP訓練は、目的も対象範囲も別のものです。厚生労働省の委託事業資料も「防災訓練(避難誘導、初期消火、救出・救護)は、BCPの訓練ではない」と示しています。

防災訓練は消防法で義務づけられた訓練で、避難・初期消火・救急救護までを扱います。洪水や津波の避難訓練は水防法が根拠で、どちらもBCPの訓練範囲ではありません。BCP訓練が確かめるのは、避難後に介護サービスをどう続けるかです。

同じ委託事業のFAQは、地震を想定した避難訓練だけでは不十分とし、対策本部の設置・在宅職員の安否確認・非常食の調理のいずれか1つ以上を追加するよう示しています。非常災害対策の訓練と一体で実施しても差し支えありませんが、神戸市の資料は「どちらの内容も盛り込まれていなければ一体的に実施したとはいえない」と注意しています。

参考1:机上訓練(入所系)|厚生労働省

参考2:介護BCP(業務継続計画)に関する良くある質問(FAQ)|中部産業連盟

研修と訓練の違い

研修と訓練は、それぞれ別に回数を満たす必要があります。研修は業務継続計画の中身を職員間で共有し、平常時の備えと緊急時の対応について理解を深める場です。

訓練は業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染症・災害の発生時に実践するケアの演習をシミュレーション形式で実施します。神戸市の資料も、訓練はシミュレーションが原則であるため、研修とは分けて実施するよう求めています。

ただし、同じ日に続けて実施するのは差し支えありません。午前に研修、午後に訓練と組めば、職員を集める回数を抑えられます。

運営指導では、研修と訓練のどちらかしか実施できていない例が指摘されています。解釈通知は研修の実施内容も記録するよう定めているため、両方の記録をそろえて残しましょう。

参考:指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準について|厚生労働省

業態別に必要な実施回数

実施回数は業態で分かれます。解釈通知が定めるのは、入所系が研修・訓練とも年2回以上、通所系と訪問系が年1回以上です。

業態研修訓練
入所系年2回以上年2回以上
通所系年1回以上年1回以上
訪問系年1回以上年1回以上

回数の根拠は省令ではなく解釈通知にあります。省令が定めているのは「必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない」という規定までです。

さらに、感染症と自然災害の扱いにも注意が必要です。神戸市の資料と厚生労働省委託事業のFAQでは、両者はそれぞれ回数を満たす必要があり、合算はできないと説明されています。

入所系なら、年4回の訓練と年4回の研修が必要になる計算です。新規採用時の研修も、入所系では実施するよう解釈通知が定めているため(通所系・訪問系は「望ましい」)、年間計画に組み込んでおきましょう。

参考1:机上訓練(通所系)|厚生労働省

参考2:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準|e-Gov法令検索

BCP訓練の事例5選

ここで紹介する5種類は、法令が定めた分類ではありません。厚生労働省の委託事業資料が示す6種類の訓練から、介護現場で使う場面の多い5つを取り上げています。

残る1種類は、災害が発生した想定で本部を設営する対策本部設置訓練です。解釈通知も、机上と実地を組み合わせて実施するのが適切だとするにとどめており、どれを選ぶかは事業所の判断に任されています。

机上訓練

机上訓練は、会議室に集まりシナリオを読みながら対応を検討する訓練です。進行役がシナリオを1ステップずつ説明し、各班が何をするかを考えて発表する流れで進みます。

厚生労働省の入所系向けシナリオは、震度7の地震が夜10時に発生し、夜勤リーダーとして詰所にいた場面から始まります。停電と断水が起き、電話もデータ通信も使えない設定です。地震の発生から安否確認、翌朝の食事提供、対策本部員の出社まで11ステップをたどります。

東京都のガイドブックが示す当日の配分は、計90分です。開会と訓練説明に15分、ワークショップに45分、振り返りに20分、講評に10分の割り振りです。

机上訓練は最小限のメンバーででき、短時間で多くの項目を検討できます。入所系でも通所系でも取り組めるため、1回目に選ぶ訓練として適しているでしょう。

参考:BCP研修・訓練ガイドブック|東京都福祉局

安否確認訓練

安否確認訓練は、施設内と施設外にいる利用者・職員の安否を実際に確認する訓練です。自然災害の業務継続ガイドラインは、利用者用と職員用で別々の確認シートを求めています。

利用者用のシートには氏名と安否、容態・状況の欄を設けます。職員用は氏名と安否に加えて、自宅の状況と家族の安否まで確認する内容です。

非番の職員には、緊急連絡網の災害時連絡先へ自主的に安否を報告してもらう運用が想定されています。連絡手段は複数用意しておきましょう。

想定しておきたい連絡手段は、次のとおりです。

  • 安否確認システム
  • SNSやメール
  • 災害用伝言ダイヤル
  • Web171

BCPの安否確認訓練は、確認する範囲を1フロアや当日の在籍者に絞れば短時間で終わります。日々の申し送りの時間に組み込めば、入所系でも通所系でも負担を抑えられるでしょう。

参考:介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン|厚生労働省

参集訓練

参集訓練は、夜間や休日に災害が起きた想定で、対策本部員が事業所へ集まる訓練です。実際に自宅から歩いてみると、通勤経路で危ない場所や到着までの時間がつかめます。

自然災害の業務継続ガイドラインは、24時間ケアを続ける入所施設について、日中と夜間に分けて自動参集基準を定めるよう勧めています。夜勤者だけで対応できる時間がどれくらいになるかを、数字で確かめられる訓練です。

あわせて決めておきたいのが、参集しなくてよい状況です。同ガイドラインは、職員を危険にさらしたり参集すべきか迷わせたりしないよう配慮を求めています。

災害時の移動は原則として徒歩になるため、道路の陥没や橋の落下も想定して経路を考えましょう。通所系でも、管理者と送迎担当者の参集手順を確かめる必要があります。

実働訓練

実働訓練は、実際に人や物を動かして手順を確かめる訓練で、実地訓練や実動訓練とも呼ばれます。机上訓練では見えない所要時間や動線の課題を確かめられるのが特徴です。

東京都のガイドブックは、自然災害を想定した実働訓練の例を示しています。

  • 災害対策本部の会場設営
  • 断水時の簡易トイレ設置
  • 災害用伝言ダイヤルの操作
  • 備蓄品での食事提供

いずれも、必要な広さや所要時間、代替手段の使い勝手を確かめる内容です。感染症を想定するなら、個人防護具の着脱やゾーニングの実施が候補になります。

人員と場所を確保する必要があるため、実働訓練は年間計画に先に入れておきましょう。入所系では夜勤の人数でも動かせるかを、通所系では送迎中の対応を確かめると実務に直結するでしょう。

総合訓練

総合訓練は、地域やほかの施設と協力して一連の流れを確かめる訓練です。応援職員の派遣や避難者の受け入れまで想定するため、準備の負担は5種類で最も大きくなります。

令和6年度の老人保健健康増進等事業の調査では、訓練を自施設の職員だけで実施した事業所が49.9%、同一法人内の職員と合同が22.2%でした。関係機関等との合同は4.3%、地域住民等との合同は2.6%にとどまります。

外部と組む総合訓練は、まだ少数派です。解釈通知は、研修・訓練をほかの事業者との連携で実施しても差し支えないとしています。

東京都のガイドブックも、ほかの施設と連携した応援派遣・受け入れ対応訓練を企画例に挙げています。まずは同じ法人内の別施設と組み、応援職員の受け入れ手順を確かめるところから始めましょう。

参考:業務継続計画(BCP)及び非常災害対策計画における他施策も含めた地域連携に関する調査研究事業報告書|日本総合研究所

夜勤帯でもできるBCP訓練の進め方

夜勤帯を想定した訓練は必要ですが、実際の夜勤中に訓練を組むのは現実的ではありません。利用者が就寝している時間に人を集めれば生活が乱れますし、最小人員の夜勤者に訓練まで担わせる余裕もありません。

夜勤帯はシナリオ上の想定として扱い、訓練そのものはフロアを離れられる職員で日中に実施します。

この分け方を土台に、進め方を3つの手順で解説します。

1時間でできる机上訓練から始める

最初の1回は、範囲を初動対応に絞った1時間の机上訓練から始めましょう。厚生労働省の委託事業FAQも、進行役が内容を十分に理解し、範囲を初動対応のみに限定すれば1時間で実施可能としています。

この1時間は国が定めた基準ではなく、条件つきの目安です。東京都のガイドブックも、策定して間もない時期はできるだけシンプルな訓練を選び、回数を重ねて現実に近づけるよう提案しています。

当社がおすすめする、1時間の内訳は以下のとおりです。

  • 目的と前提の説明(10分)
  • シナリオの検討(35分)
  • 振り返りと共有(15分)

夜勤の場面を扱うなら、地震発生から夜勤者の初動までに絞ると1時間に収まります。回数を重ねてから、業務継続や翌日の出勤判断まで範囲を広げると、訓練の実践度が上がっていくでしょう。

発生時間を決めてシナリオを作る

シナリオは、災害が起きる時間帯を決めるところから作ります。厚生労働省の入所系向け机上訓練も「夜10時」「夜勤のリーダー」と先に固定しており、検討する内容が絞られます。

想定が夜10時でも、訓練そのものは日中の会議室で実施するのが基本です。東京都が示す訓練当日のタイムテーブルも開始は15時30分で、想定と実施の時間は別に扱われています。

時間帯を決めたら、その時間に手薄になる部分を課題として書き出します。東京都の訓練実施計画書のサンプルにも「夜間など看護師が不在時にはどのように対応しますか?」という課題がありました。

厚生労働省の委託事業の報告書には、訓練をして初めて備蓄品の場所を知らない職員がいるとわかった例が載っています。職員自身の勤務帯の場面を扱うと、当事者として発言できるようになるでしょう。

関連記事:地震避難訓練で大事なこと|訓練の効果を高めるポイントも解説

シフトごとに分けて実施する

全職員を一度に集められない場合は、同じ内容を日中に複数回開き、勤務の違う職員に分けて参加してもらいます。東京都のガイドブックがBCP研修について勧めるのも、勤務調整や複数回開催による全職員の参加です。訓練でも、目的やテーマを絞って少人数・短時間から始める方法が挙げられています。

ここで気をつけたいのが、回数の数え方です。分けて開催した各回を何回に数えるかを定めた明文はないため、業態ごとの回数要件は別に満たす前提で計画しましょう。

分け方は、訓練の種類でも変わります。厚生労働省の委託事業FAQでは、研修は資料や動画の視聴でも認められ、実働訓練は職員数を限定した実施も可能です。

解釈通知でも、全従業者の参加が望ましいとされています。参加できなかった職員には別途実施するか内容を共有し、記録を残しましょう。

BCP訓練の記録の残し方

BCP訓練の記録の残し方

研修と訓練の実施が義務化された以上、記録が残っていなければ、運営指導で実施した事実を示せません。運営指導の確認文書に挙がっているのも、業務継続計画と、研修・訓練それぞれの計画と実績がわかる資料です。

ここでは、BCP訓練の記録の残し方を詳しく解説します。

計画書と実施記録をそろえる

運営指導で示す必要があるのは、実施済みの記録だけではありません。介護保険施設等運営指導マニュアルの別添が確認文書に並べているのは、業務継続計画と研修・訓練それぞれの計画・実績がわかる資料です。

東京都のガイドブックは、研修実施計画書が義務化された研修実施記録を残す際にも役立つと紹介しています。訓練でも、計画書と実績を対で残す考え方は同じです。

計画書は年度の初めに作っておくと、運営指導の直前に慌てずに済むでしょう。年間の実施予定を1枚にし、訓練ごとの計画書を足していく進め方が現実的です。

解釈通知は、研修の実施内容についても記録するよう定めています。研修の記録も同じ場所にそろえ、担当者が代わっても取り出せる状態にしておきましょう。

関連記事:訪問介護の実地指導チェックリスト|よくある指摘3選と対策も解説

参考:介護保険施設等運営指導マニュアル別添・確認項目及び確認文書|厚生労働省

日時と参加者を漏れなく書く

訓練実施計画書には、あとから第三者が読んでも状況がわかる項目を残します。東京都のガイドブックが示すサンプルの記載項目は、次のとおりです。

  • 訓練日時と場所
  • 目的・目標と対象
  • 訓練方法とテーマ
  • 被害想定とシナリオ
  • 検討する課題

参加者は氏名まで書き、欠席者がいる場合はその後の対応も添えておくと安心です。神戸市の資料は、運営指導でよく見られる点として全従業者が参加していない例や、欠席者に説明していない例を挙げています。

規定の回数を実施できていない例も、同じ資料に挙げられています。感染症と自然災害のどちらか一方しか実施できていない状態も指摘の対象になるため、4種類の記録がそろっているかを年度末に確認しましょう。

参考:運営基準に基づく計画・指針と研修・訓練【全サービス共通】|神戸市

気づきをBCPの見直しに反映する

訓練で出た気づきは、その場で振り返って計画の修正につなげます。東京都のガイドブックも、記憶が薄れないうちに意見交換する進め方を推奨しています。

課題を整理する際に見るのは、特定の事象でだけ起きるのか、どのような事象でも共通して起きるのかの違いです。共通して起きる課題は早めの対応が要るため、優先順位をつけて担当を決めましょう。

厚生労働省の資料は、訓練の評価項目として達成度・迅速性・正確性・柔軟性の4つを挙げています。東京都のガイドブックは、達成度の評価が高くても迅速性の評価が低ければ、手順が効率的でない可能性があるとしています。

対策を決めたら、誰がいつ実施するかまで書き残しましょう。その効果を確かめるのが、次の訓練です。令和6年度の調査でも、訓練を実施した事業所の90.6%が計画を見直しています。

BCP訓練でよくある質問

年間計画を組むと、訓練内容の使い回しや記録の保存期間で判断に迷う場面が出てきます。どちらも国の資料に決まりはなく、施設側で方針を決める余地が残る部分です。

ここでは、BCP訓練の担当者から質問の多い2点を、根拠とあわせて解説します。

訓練は毎年同じ内容でもいい?

同じ内容でも回数の要件は満たせるため、義務違反にはなりません。ただし、厚生労働省の委託事業FAQは、内容が多岐にわたるため毎年変えて実施するのが望ましいと回答しています。

禁止ではなく、あくまで推奨にとどまる扱いです。しかし、同じシナリオを繰り返すと新しい課題が出にくくなる面もあります。

対応としては、本記事で紹介した5種類を年ごとに入れ替える方法が現実的です。入所系なら、自然災害の2回を1年目は机上訓練と安否確認訓練、2年目は参集訓練と実働訓練の組み合わせにします。感染症の2回も同じ要領で入れ替えれば、内容を変えながら回数も満たせます。

発生時間や被害想定を変えるだけでも、検討する内容は別物です。前年の振り返りで残った課題を次のテーマにすると、内容選びに迷わないでしょう。

訓練の記録は何年保存する?

BCP訓練の記録について、保存年限を定めた明文は国の資料でも自治体の資料でも見当たりません。省令が完結の日から2年間の保存を求めているのは、施設サービス計画や苦情の記録など利用者へのサービス提供に関する6項目で、訓練の記録は対象外です。

しかし、自治体の条例で年限を長く定めている例もあります。川崎市は記録の保存期間を5年としていますが、その対象に挙がっているのも施設サービス計画や苦情・事故の記録です。

つまり、保存年限は指定権者である自治体の条例や取り扱いによって変わります。運営規程や契約書に保存期間を定めている場合もあるため、所轄の自治体に確認しましょう。

実務としては、直近の計画書と実績を手元に残す方針が安全です。運営指導で求められた際にすぐ示せるよう、年度ごとにまとめて保管しましょう。

関連記事:上手なファイリングの仕方|監査・防災対策まで解説

参考:記録の整備・保存|川崎市

まとめ

介護のBCP訓練は、防災訓練とも研修とも別に回数を満たす必要があります。解釈通知では入所系は年2回以上、通所系と訪問系は年1回以上の実施を求めています。

BCP訓練の事例としては、机上・安否確認・参集・実働・総合の5種類を紹介しました。まずは範囲を初動対応に絞った1時間の机上訓練から始め、夜勤帯は実施時間ではなくシナリオ上の想定として扱いましょう。

記録は、実施後の報告だけでなく実施前の計画書までそろえます。日時と参加者、欠席者への対応まで書き残せば、運営指導でも実施状況を説明できます。

年度の残り回数を数えるところから始め、次の1回を計画書に落とし込みましょう。

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2022年に防災士の資格を取得、企業に対してBCP対策の支援。