loader image

2026/10/13

高齢者の防災レクリエーション10選|所要時間から安全配慮まで解説

ifny運営スタッフ

ifny運営スタッフ

高齢者の防災レクリエーション10選|所要時間から安全配慮まで解説

防災の日や施設の防災訓練に合わせて「防災をテーマにしたレクを」と頼まれ、何から考えればよいか迷っていませんか?車いすの方や認知症の方も一緒に楽しめる内容にしたいと考える職員の方も多いでしょう。

この記事では、座ったままできるレクと体を動かすレクを合わせて10個、参加のしかた・所要時間・準備物・進め方の順に紹介します。高齢者の防災レクリエーションを安全に進める配慮と、施設の防災訓練につなげる方法も解説します。

最後まで目を通せば、利用者の状態に合ったレクを選び、次のレク計画にそのまま組み込めるでしょう。

介護業界向けの防災・BCPコンサルティングはこちら

高齢者の防災レクリエーションとは

この記事でいう防災レクリエーションは、ゲームや工作を楽しみながら防災の知識に親しむ活動です。以下では防災レクと呼び、運営基準で施設に義務づけられている防災訓練とは分けて扱います。

ここでは、防災レクのねらいと、施設の防災訓練との関係を整理していきましょう。

防災レクのねらい

防災レクでは、利用者が楽しみながら防災の知識に触れられる内容を選びます。この記事で紹介する10のレクが扱うテーマは、備蓄・非常持ち出し品・地震が起きたときの身の守り方・避難情報の4つが中心です。

テーマを決めて月ごとに入れ替えると、同じ知識に偏らずに年間のレク計画を組めます。職員にとっても、クイズの答えや施設の避難経路を確かめ直す場になるでしょう。

レクで扱った内容は、施設の防災訓練の準備にも生かせます。避難経路を歩くレクや持ち出し品を選ぶレクは、訓練前の下見や備蓄品の点検と組み合わせられます。

施設の防災訓練との関係

特養(指定介護老人福祉施設)とデイサービス(指定通所介護)は、運営基準で防災訓練の実施が義務づけられています。非常災害対策として計画を立て、定期的に避難、救出その他必要な訓練を実施しなければなりません。

訓練の実施にあたっては、地域住民の参加が得られるよう連携に努める決まりもあります。実際の災害では、施設の管理者などが警戒レベル3「高齢者等避難」などの早い段階から利用者の避難支援を始めるのが基本です。

レクを訓練にどう組み合わせるかは、よくある質問で紹介します。防災レクで警戒レベルの言葉や避難経路に触れておけば、訓練の前に利用者と知識をそろえられるでしょう。

参考:避難情報に関するガイドライン(令和8年3月改定)|内閣府

高齢者が座ったままできる防災レクリエーション6選

座ったままできるレクは、車いすの方や立ち上がりに不安がある方も同じテーブルで参加できます。各レクは参加方法、所要時間の目安、準備物、進め方の順に紹介します。所要時間と準備物はこの記事で考えた目安なので、人数や利用者の状態に合わせて調整しましょう。

ここでは、テーブルを囲んで取り組める6つのレクを紹介します。

防災クイズ

防災クイズは、問題を読み上げるだけで始められる手軽なレクです。車いすの方も座ったまま答えられます。所要時間の目安は20分、準備物は問題と3つの選択肢を大きく書いた紙です。

職員が問題を読み上げ、利用者には答えだと思う選択肢に手を挙げてもらいます。そのまま使える問題の例は、次のとおりです。

問題答え
「防災の日」は何月何日?毎年9月1日
家庭で備える飲料水は1人1日何リットルが目安?3リットル
警戒レベル3「高齢者等避難」で避難を始めるのは?避難に時間のかかる高齢者など

答え合わせのときは「防災週間は8月30日から9月5日まで」「飲料水は3日分、大規模な災害に備えるなら1週間分が望ましい」のように、一言添えましょう。警戒レベル4「避難指示」までには危険な場所から全員が避難すると伝えておけば、このあと紹介するすごろくでも生かせます。

参考:「防災の日」及び「防災週間」について|内閣府

防災かるた

防災かるたは、身の守り方や家庭での備えを読み札で覚えるレクです。札に手が届く位置なら、車いすのままでも参加できます。所要時間は20〜30分が目安で、準備物は画用紙で作る読み札と絵札です。

進め方は、職員が読み札を読み上げ、テーブルに並べた絵札を利用者が取る流れです。読み札の文は、国の防災の呼びかけにある言葉をもとにすると内容の誤りを防げます。札の例は、次のとおりです。

  • 家具は必ず倒れるものと考える
  • 揺れたら頭を座布団などで保護する
  • 慌てて戸外に飛び出さない
  • 手の届くところにスリッパを置く

札を取った方には、職員が絵札の場面を一言で説明しましょう。絵札を大きめに描き、テーブルに並べる枚数を絞ると、見えにくい方や手の届く範囲が狭い方も参加できます。

防災すごろくゲーム

防災すごろくゲームは、マスに書いた防災の行動を読みながら進むレクです。テーブルを囲んで座ったまま遊べ、車いすの方も参加できます。所要時間の目安は30分で、準備物は模造紙のすごろく盤と大きめのサイコロ、コマです。

利用者が順にサイコロを振り、止まったマスの内容を職員が読み上げます。マスには、避難情報や備えにまつわる行動を書いておきましょう。

マスの例動き
ハザードマップで避難場所を確かめた2マス進む
警戒レベル3「高齢者等避難」が出た(家が危険な場所にある)避難場所のマスへ進む
持ち出し袋の点検を忘れていた1回休み

ハザードマップは、自治体のホームページや国土交通省のハザードマップポータルサイトから入手できます。止まったマスごとに職員が一言補うと、ゲームを楽しみながら避難の流れを確かめられます。

参考:新たな避難情報に関するポスター・チラシ|内閣府

非常持ち出し袋ゲーム

非常持ち出し袋ゲームは、袋に入れる品を選びながら備えを見直すレクです。チームに分かれ、車いすの方も含めて座ったまま取り組みます。所要時間は20分ほどを見込み、準備物は品物を描いたカードと空のリュックです。

テーブルに並べたカードの中から、持ち出し袋に入れたい品をチームで選んでもらいます。答え合わせには、国が非常持ち出し品の例に挙げる飲料水・懐中電灯・携帯ラジオといった品を使いましょう。高齢者がいる場合は、次のような品を加えるよう呼びかける自治体もあります。

  • 入れ歯
  • 補聴器
  • 紙おむつ
  • 介護用品

持病の薬や予備のメガネも含めて、利用者に「普段使っているもの」を思い出してもらいましょう。選び終えたら、持ち出し品はリュックに詰めて、いつでもすぐに持ち出せるよう備えておくと伝えます。

参考:災害時に命を守る一人ひとりの防災対策|政府広報オンライン

新聞紙スリッパ作り

新聞紙スリッパ作りは、古新聞で緊急時に使うスリッパを作る工作レクです。手元の作業なので、車いすに座ったままでも作れます。所要時間の目安は30分、準備物は新聞紙とセロハンテープです。

職員が見本を見せながら、一工程ずつ一緒に折っていきます。新聞紙を折ってセロハンテープで留める作り方を紹介する自治体もあり、工程ごとに区切ると手元の動きに合わせて進められます。

作りながら、スリッパの役割も伝えましょう。割れたガラスなどの破片から足を守るため、国は手の届くところにスリッパを備えるよう呼びかけています。

ただし、新聞紙スリッパはあくまで緊急時の代用品です。持ち出し袋には、これとは別にスリッパを準備しておきましょう。

ポリ袋で作る非常食クッキング

ポリ袋調理は、ライフラインが使えなくても袋のまま湯せんして簡単な食事を作れる調理法です。利用者は座ったまま作業に参加できます。

所要時間の目安は40分です。準備物は、湯せん対応や耐熱の表示がある高密度ポリエチレン製の袋(厚さ0.01mmで無地・マチのないもの)と鍋、鍋底に敷く耐熱の皿や布巾、カセットコンロです。

体調を確かめてから利用者に食材を袋に入れてもんでもらい、包丁と加熱は職員が受け持ちます。袋の製品規格を確かめ、食材を均一に広げて沸騰した湯に入れ、レシピの加熱時間を守りましょう。

抵抗力が弱い方は食中毒で重症化する場合もあるため、次の点に気をつけます。

  • 調理の前に手を洗う
  • 中心部まで十分に加熱する
  • 室温に長く置かず早めに食べる

加熱の目安は、家庭の調理では中心部の温度が75℃で1分間以上です。下痢や発熱、手指に傷がある方は調理や配付をせず、作業中は職員が見守りましょう。

参考:災害時の食中毒予防のために|厚生労働省

参考:家庭でできる食中毒予防の6つのポイント|厚生労働省

体を動かす防災レクリエーション4選

体を動かすレクは、身を守る動きや避難経路を体で覚えるのに向いています。立ち座りや歩く動きが入るため、後半の安全配慮も確かめておきましょう。

ここでは、座ったままでも加われる工夫を添えて、4つのレクを紹介します。

地震で身を守る姿勢の練習

このレクでは、揺れを感じたときの動きを職員の合図で繰り返し練習します。椅子や車いすに座ったままでも立ったままでも取り組め、10〜15分ほどで終わります。準備物は頭を守るクッションです。

練習するのは、シェイクアウト(一斉防災訓練)で呼びかけている安全確保行動「まず低く、頭を守り、動かない」です。合図があったら体を低くし、クッションや腕で頭を守って、揺れが止まった想定まで動かずに待ちます。

車いすの方は、東京消防庁の検証で提言された体勢を一例として練習しましょう。この検証は、家具の転倒・落下・移動を防ぐ対策がとられている状態を前提にしています。

  • 可能な範囲で前かがみになり重心を下げる
  • 近くに固定物があればしっかりつかまる
  • 固定物がなければ前かがみで重心を下げ、必要に応じて転落に備える

固定物につかまるときは、ブレーキをかけておくと安定しやすくなります。固定物がないときは、ブレーキをかけてもかけなくても車いすが揺れで少しずつ動くため、必要に応じて動く方向の壁や家具にぶつからないようにしなければなりません。

検証の被験者は消防職員のため、利用者の体の状態に合わせて無理のない範囲で取り入れましょう。

関連記事:地震が起きたらどこに逃げる?状況別の行動から高齢者の避難まで解説

参考:観測地震波を用いた車いす使用者の身体防護体勢の検証|東京消防庁

バケツリレー

バケツリレーは、となりの人へバケツを手渡す、初期消火を題材にしたレクです。横一列に並べた椅子に座ったまま参加でき、車いすの方も同じ列に入れます。所要時間の目安は15〜20分、準備物は軽いバケツと、水の代わりのお手玉です。

端の利用者からとなりへバケツを手渡し、最後の人まで運べたらチームの得点にします。水を使わないため床もぬれません。

隣近所の人同士で消火活動ができる体制づくりとして、地域の初期消火訓練にバケツリレーを取り入れる自治体もあります。大きな地震などでは消防隊の到着が遅れる場合があり、初期消火は火災の被害を軽減するために必要です。

ただし、消防署の案内によると、施設の消火訓練は消火器や屋内消火栓を使った初期消火の訓練です。レクのバケツリレーは、この訓練の代わりにはなりません。

参考:自衛消防訓練の実施について|東京消防庁丸の内消防署

避難経路スタンプラリー

避難経路スタンプラリーは、施設の避難経路を歩いて非常口や消火器の場所を覚えるレクです。立って歩ける方が中心で、車いすの方は職員が押して一緒に回ります。所要時間の目安は30分、準備物はスタンプと台紙、施設の避難経路図です。

非常口や消火器の前にスタンプを置き、利用者には避難経路図を見ながら順に回ってもらいます。消防法では、施設を管理する側(管理について権原を有する者)に対し、廊下や階段、避難口などに避難の支障になる物を放置しないよう求めています。

スタンプを押しながら、職員も非常口の前に物が置かれていないかを一緒に確認しておきましょう。歩く距離が長くならないよう、ポイントの間には休める椅子を置きます。回るルートを施設の避難訓練でたどる経路とそろえておけば、訓練前の下見としても使えるでしょう。

防災ボッチャ

防災ボッチャは、ボッチャのルールに防災用品のカードを組み合わせたレクです。投げるだけなので、車いすの方も座って楽しめます。所要時間の目安は20〜30分、準備物はボッチャのボールと防災の品を書いたカードです。

ボッチャは、白いジャックボール(的球)に赤・青それぞれのボールをどれだけ近づけられるかを競います。ボールは上から投げても下から投げてもよく、障がいの有無にかかわらず誰でも楽しめるスポーツとして注目されています。

防災ボッチャで使うのは、ジャックボールの周りに置いた「懐中電灯」「携帯ラジオ」などのカードです。ボールが最も近くに止まったカードの品について、使い道や置き場所を職員と話しましょう。

投げる力には差があるため、的までの距離を利用者に合わせて縮めると、どの方も得点をねらえるでしょう。

高齢者の防災レクリエーションの安全配慮

高齢者の防災レクリエーションの安全配慮

防災レクでは、立ち座りや移動の動きに加えて、認知症の方への接し方や水分補給にも気を配る必要があります。始める前に、職員の間で配慮の手順をそろえておきましょう。

ここでは、レクの前後と最中に気をつけたい3つの配慮を解説します。

立ち座りでの転倒への備え

体を動かすレクでは、立ち上がりや移動のときの転倒に備えましょう。東京消防庁管内の統計では、令和2年からの5年間に日常生活の事故で救急搬送された高齢者のうち「ころぶ」事故が8割以上でした(「その他」「不明」を除く)。

同じ期間に搬送された高齢者の4割以上は、入院の必要がある中等症以上と診断されています。立ち上がる・座る・歩き出す・向きを変えるといった動作の切り替えのときに、転倒が多く起きていたとする研究もあります。

レクでは、立つ・座る・向きを変える場面に職員がそばにつきましょう。椅子はひじ掛けのある安定したものを選び、スタンプラリーでは床に物を置かず、歩く距離を短めに区切ります。

認知症の方への接し方

認知症の方には、避難所での支援の手引きにある接し方の基本をレクでも生かしましょう。厚生労働省が掲載する「避難所での認知症の人と家族支援ガイド」は、同じ目線で前からゆっくり接するのを基本としています。

そのうえで「驚かせない」「急がせない」「自尊心を傷つけない」の3つを挙げ、認知症になると音に敏感になる点にも触れています。この記事がすすめるのは、これらの基本に沿って、被災の映像や怖い話を使わず、大きな音の合図も避ける進め方です。

声は正面からゆっくりかけ、答えを間違えても否定せず、参加をためらう方には見学から加わってもらいましょう。

関連記事:防災の意識を広めていくための方法やポイントについて

参考:避難所での認知症の人と家族支援ガイド|厚生労働省

水分補給の声かけ

体を動かすレクや調理のレクでは、区切りごとに水分補給を声かけしましょう。熱中症は屋外だけでなく室内でも多く発生しているため、油断はできません。

厚生労働省は高齢者の熱中症対策として、のどが渇いていなくてもこまめに水分・塩分を補給するよう呼びかけています。水分の目安は1日あたり1.2Lで、1時間ごとにコップ1杯です。ただし、水分や塩分の量はかかりつけ医の指示に従います。

嚥下調整食をとっている方は、汁物を含む水分に原則としてとろみを付けます。お茶を出すときも普段の食事と同じとろみの濃さにそろえれば、レクの合間でも安心して水分をとってもらえるでしょう。

参考:高齢者のための熱中症対策|厚生労働省

参考:日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021|日本摂食嚥下リハビリテーション学会

高齢者の防災レクリエーションでよくある質問

防災レクを続けていると、施設の防災訓練とのつながりや、外部のプログラムの使い方で迷う場面が出てきます。

ここでは、レク担当の職員からよく出る2つの質問にお答えします。

防災レクを施設の防災訓練につなげるには?

防災レクは、スタンプラリーで回ったルートを避難訓練でたどるなど、訓練前の学習や準備として組み合わせましょう。持ち出し袋ゲームのあとに施設の備蓄品を点検するのも一案です。

訓練は法令に沿って計画しましょう。防火管理者が必要な施設(職員も含めた収容人員が、特養などは10人以上、デイサービスなどは30人以上)では、消防法施行規則により消火訓練と避難訓練を年2回以上実施する必要があります。

BCPの訓練は特養が年2回以上、デイサービスが年1回以上で、災害のBCPの訓練は非常災害対策の訓練と一体的に実施しても差し支えありません。厚生労働省のBCPセミナー資料では、防災訓練(避難誘導、初期消火、救出・救護)はBCPの訓練とは別のものとして整理されています。

防災レクを訓練の回数に数えられるかは、所轄の消防署や指定権者に確かめましょう。

関連記事:地震避難訓練で大事なこと|訓練の効果を高めるポイントも解説

施設で頼める体験型の防災プログラムはある?

施設の外の体験型プログラムを頼む方法もあります。ifnyでは、介護施設向けの防災キャンプ「あそぼうさい」を企画・開催しています。

避難所に行ってみたり防災学習ゲームをしたりと、体を動かしながら防災を学ぶ体験型の訓練です。介護士から介護対象者の方まで参加できます。

基本料金は1名あたり3,000円(例:40名で120,000円)です。少人数での実施は割高になる場合がありますが、予算の相談にも応じています。申し込みは「あそぼうさい」の受付フォームからで、人数や日程、金額を確かめたあと、開催場所と開催日を調整します。

地元の消防署も相談先の一つです。東京消防庁の例では、起震車は車両後部の昇降装置で車いすの方も揺れを体験できます。車両の有無や申し込み方法は、地元の消防署に問い合わせましょう。

まとめ

高齢者の防災レクリエーションは、座ったままできるレクと体を動かすレクを、利用者の心身の状態に合わせて選ぶのが基本です。所要時間と準備物の目安を決めておけば、毎月のレク計画にも組み込めます。

進めるときは、立ち座りでの転倒・認知症の方への接し方・水分補給の3点に気を配りましょう。スタンプラリーで回った避難経路や持ち出し袋ゲームのあとに点検した備蓄品は、施設の防災訓練の準備にも生かせます。

まずは次のレク計画に防災クイズか避難経路スタンプラリーを1つ取り入れ、利用者と一緒に防災の知識を確かめましょう。

防災⼠の詳細はこちら

2022年に防災士の資格を取得、企業に対してBCP対策の支援。