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2026/06/05

コンチプランとは?BCPとの違いや介護事業者の初動対応を解説

ifny運営スタッフ

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コンチプランとは?BCPとの違いや介護事業者の初動対応を解説

「コンチプランとは何か」「BCPと何が違うのか」と、義務化されたBCPの先で頭を悩ませていませんか?とくに介護施設では、災害や感染症が起きた直後の初動が利用者の安全を大きく左右します。

この記事では、コンチプランの意味とBCPとの違いを整理したうえで、介護現場の初動対応と策定の進め方をくわしく解説します。

読み終えるころには、コンチプランとBCPの関係を自分の言葉で説明でき、自施設の備えに着手する道筋がつかめるでしょう。

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コンチプランとは

介護施設の運営では、地震や感染症といった突発的な事態にどう対応するかが問われます。こうした緊急時の備えとして注目されるのがコンチプランです。

2024年4月にBCPが義務化されたのをきっかけに、この言葉を耳にした施設長の方も多いでしょう。まずはコンチプランの意味と目的、発動が想定される場面から見ていきます。

コンチプランの意味と目的

コンチプランとは、突発的な非常事態に備えてあらかじめ定めておく行動計画を指します。正式にはコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)と呼び、その略称がコンチプランです。

目的は、被害を最小限に食い止め、初動の対応を迅速にする点にあります。もともとは金融やITシステムの障害、テロなど特定の緊急事態への即時対応を想定した考え方でした。

介護の現場では、地震や感染症が発生した直後の動きに応用できます。施設として何を優先し、どう動くかを事前に決めておく実務的なマニュアルです。

対応をマニュアル化しておけば、混乱の中でも職員が迷わず行動に移せます。判断のよりどころがあるだけで、初動の速さは大きく変わるでしょう。

関連記事:BCPとマニュアルの違いを徹底解説|基礎知識からBCP策定の手順まで解説

コンチプランが必要な場面

コンチプランが必要になるのは、発生した直後に即座の対応を迫られる場面です。対応が遅れるほど、利用者や職員の安全を脅かすおそれが大きくなります。

おもに想定されるのは、次のような場面です。

  • 地震や水害などの自然災害
  • 火災の発生
  • 感染症の集団発生
  • 停電や断水などのライフライン障害

これらに共通するのは、発生直後の数分から数時間の動きが被害の大きさを左右する点です。だからこそ、誰が何をするかを前もって決めておく備えが求められます。

コンチプランがBCPと異なる点

コンチプランとよく似た言葉に、BCP(事業継続計画)があります。どちらも緊急時の備えですが、目的や対象とする範囲は同じではありません。

両者の違いを理解すると、自施設の備えに何が足りないかが見えてきます。ここでは、重視する目的と実施のタイミング、対象範囲と分析手法の2つの観点から違いを解説します。

重視する目的と実施タイミング

両者の最大の違いは、重視する目的と動き出すタイミングにあります。コンチプランは、緊急事態が発生した直後の即時対応に特化しています。

被害を最小限に抑え、初動を素早く進める短期の備えです。一方のBCPは、重要な業務を中断させない、もしくは短期間で復旧させる点に主眼を置いた計画です。

つまり、コンチプランが発生直後の数時間をカバーするのに対し、BCPは数日から数週間先の事業継続までを見据えます。時間軸の長さが、両者を分ける大きな目印になります。

介護施設なら、地震発生から避難までをコンチプランとし、その後のサービス再開までをBCPが受け持つイメージです。

対象範囲と分析手法

コンチプランとBCPは、対象とする範囲にも違いが出ます。コンチプランは、地震や停電といった特定の事象ごとに、その場でとるべき対応へ絞り込む計画です。

これに対しBCPは、事業全体を見渡し、優先する業務の選定から人員や設備の配分までを幅広く扱います。どの業務をどの順で復旧するかを、止まったときの影響の大きさから見極めます。両者は対立するものではなく、互いを補い合う関係です。

実際、コンチプランはBCPの中で特定の事象への即時対応策として位置づけられる場面が多く見られます。介護現場では、義務化されたBCPの初動対応部分をコンチプランの視点で見直すと、備えの抜けを防げます。

コンチプランで定める介護現場の初動対応

ここからは、本記事の中心となる初動対応を見ていきます。介護現場のコンチプランでは、災害や感染症が起きた直後に何をするかを、できるだけ細かく決めておきます。

利用者と職員の安全確保、緊急連絡と職員の参集、ライフラインが止まったときの代替手段の3つが柱です。それぞれを順番に解説します。

利用者と職員の安全確保

初動対応でまず優先するのは、利用者と職員の安全確保です。地震であれば、身の安全を確保したうえでの避難誘導と安否確認が最優先すべき対応です。

介護施設では、利用者の心身の状態によって避難の方法が変わります。次のように区分して、手順を決めておきましょう。

  • 自力で歩いて避難できる方
  • 車いすでの移動が必要な方
  • 寝たきりで全介助を要する方

誰がどの利用者を担当するかまで決めておくと、現場の混乱を防げます。職員自身も被災者である点を忘れてはなりません。帰宅が難しいときの休憩場所や宿泊先を用意しておくと、職員は安心して利用者の対応に専念できます。

緊急連絡と職員参集の体制

緊急時に職員をどう集めるかも、初動対応の要になります。連絡が必ず取れるとは限らないため、連絡がつかなくても各自が動ける仕組みが必要です。

たとえば、職員を参集の区分で分けておく方法があります。

  • 時間を問わず参集するメンバー
  • 安全が確保されてから参集するメンバー
  • 自宅で待機するメンバー

また、緊急連絡網やご家族・行政・医療機関への連絡手順、役割分担も定めておきます。震度5弱以上で安否確認を始めるなど、動き出す基準を数値で示すと判断に迷いません。

ライフライン断絶への代替手段

電気・水道・通信が止まったときの代替手段も決めておきます。介護施設では電源を失うと、人工呼吸器や吸引器など命に関わる機器が使えなくなります。

停電に備えて自家発電機を用意し、医療機器用の非常用電源やバッテリーを確保しておきましょう。断水に備えて、飲料水と生活用水を分けて備蓄し、給水の手段も決めておきます。

備蓄量は、外部の支援が届くまでの数日分を見込んでおくと安心です。電話が通じないときの連絡方法も、事前に取り決めておくと焦らずに対応できます。

SMSやチャットアプリ、災害用伝言板など複数の手段を用意しておけば、状況が変わっても連絡を絶やさずに済みます。

介護事業者のコンチプラン策定の進め方

介護事業者のコンチプラン策定の進め方

初動対応の中身がわかったら、次は施設としてどのようにコンチプランを作り上げていくかです。コンチプランは、自施設に起こりうる事態を洗い出し、対応を決め、訓練で磨いていく流れで整えます。

ここでは、想定リスクの洗い出しから訓練と見直し、策定時の注意点までを順に見ていきます。

想定リスクを洗い出す

はじめに、自施設で起こりうる緊急事態を洗い出しましょう。立地や建物の構造、利用者の特性によって、備えるべきリスクは施設ごとに異なります。

海の近くでは津波や高潮、川のそばでは水害が想定されます。地域の条件をふまえ、起こりうる事態を広く挙げるのがポイントです。

そのうえで、発生直後に最優先で守るべきものを決めます。介護施設では、利用者と職員の命と安全が最優先です。

リスクを洗い出すときは、施設長だけで抱え込まず現場の職員も加えると、見落としが減ります。日々利用者に接する職員ならではの視点が、思わぬリスクの発見につながります。

関連記事:介護事業所のBCP策定|優先業務の決め方3ステップを解説

訓練と定期的な見直しを実施する

コンチプランは、作って終わりではありません。職員が動きを体で覚えるまで、研修と訓練を繰り返すと実効性が高まります。

介護事業者には、研修と訓練の実施が義務づけられています。入所系のサービスは年2回以上、通所系と訪問系のサービスは年1回以上が基準です。訓練で見つかった課題をもとに内容を直し、次の訓練に生かす流れを定着させます。

制度の改正や職員の入れ替わりがあれば、その都度見直しが必要です。一度作った計画も、現場の実態に合わせて更新を重ねると、緊急時にしっかり機能します。見直しでは、連絡先の変更や備蓄の使用期限なども忘れずに点検しましょう。

策定時の注意点を押さえる

最後に、策定を進めるときの注意点を押さえます。コンチプランの策定では、施設長など意思決定者が旗振り役を担う姿勢が肝心です。

経営層と現場の職員の双方を巻き込みながら作ると、実情に合った内容に仕上がります。予算や人員の判断には経営層の理解が必要で、現場の動きには職員の知恵が役立つためです。

完成したら、全職員がいつでも見られる場所に共有しておきましょう。掲示やデータ共有で誰もがすぐ確認できる状態にしておくと安心です。

また、マニュアルを作っただけで満足しない姿勢も求められます。職員が初動を体で覚え、緊急時に迷わず動ける状態を作ってこそ、計画は本当の力を発揮します。

関連記事:BCPは誰が作るべき?|策定責任者から介護事業におけるBCPの特徴まで解説

コンチプランでよくある質問

コンチプランをめぐっては、施設長から実務的な疑問が多く寄せられます。

ここでは、BCPとの作り分けや雛形の有無など、とくに迷いがちな2つの質問にお答えします。

コンチプランはBCPと別に作る必要がある?

結論からいえば、BCPとは別に独立した文書を新たに作る義務はありません。介護事業者には2024年4月からBCPの策定が義務づけられており、初動対応はそのBCPの中に含められます。

そのため、独立した計画書をゼロから用意する必要はありません。現実的なのは、既存のBCPにある初動対応の部分を、コンチプランの視点で見直す進め方です。

即時の対応がどこまで描けているかを点検すれば、別物として作り直す手間を省けます。BCPと重複した文書が増えないため、現場の運用もすっきりと整います。

関連記事:義務化される介護施設でのBCP対策とは?罰則や策定のメリットを解説

コンチプランの雛形はある?

コンチプランと名のつく公式な雛形は、厚生労働省からは示されていません。ただし、厚労省が用意するBCPの雛形に初動対応の項目があり、これがコンチプランに当たる部分です。

雛形は、自然災害編と感染症編の2種類です。感染症編は入所系・通所系・訪問系の3区分に分かれ、自然災害編には共通版とサービス固有版がそろっています。

自施設のサービス形態に合う雛形を選び、初動対応の項目を埋めていけば、無理なく備えを形にできます。ゼロから書き起こす負担がなく、限られた人手でも無理のない方法です。

関連記事:ひな形を活用した介護施設のBCP策定手順を解説

まとめ

コンチプランは、緊急事態が起きた直後の即時対応に特化した計画です。事業の継続を目指すBCPとは役割が異なり、両者は補い合う関係にあります。介護現場では、義務化されたBCPの初動対応部分をコンチプランの視点で強化すると、備えが実効的になります。

まずは、自施設のBCPにある初動対応の項目を見直してみましょう。利用者と職員の安全確保、職員の参集体制、ライフライン断絶への備えが図られているかを点検すると、足りない部分が見えてきます。

初動の数時間の動きが、利用者と職員の安全を守る分かれ道になります。今ある計画を一歩前へ進め、緊急時に迷わず動ける施設を作っていきましょう。

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2022年に防災士の資格を取得、企業に対してBCP対策の支援。