デイサービスで理学療法士が働くメリットは？役割や仕事内容を解説

高齢化が進み、デイサービスでは理学療法士によるリハビリや運動指導の需要が高まっています。

住み慣れた自宅で健康に暮らしていくためには、リハビリで筋力の維持向上を目指すことが大切です。

しかし、デイサービスで働く理学療法士の役割や仕事内容がわからない方も多いでしょう。

この記事では、理学療法士がなぜデイサービスに必要とされているのか、理学療法士がデイサービスで働くメリットや仕事内容について解説します。

この記事を読むことで、デイサービスで勤務したことのない理学療法士の方でも仕事内容を詳しく把握でき、働くイメージを持つことができるでしょう。

デイサービスで働く理学療法士とは？

理学療法士は病院だけでなく、デイサービスなどの介護施設においても活躍の場を広げています。

デイサービスとは何か、デイサービスで働く理学療法士の役割について解説します。

デイサービスとは？

デイサービスとは、介護が必要となった状態でも自立した在宅生活を送れるように、生活機能の維持・向上を目的とした介護サービスです。

入浴や排泄、食事の介助、機能訓練やレクリエーションなどのサービスを受けることができます。

また、要介護者と同居するご家族は、介護の負担が大きくなりストレスを抱えてしまうケースも少なくありません。

デイサービスは、家族の介護負担軽減を図る目的としても利用されています。

参考：公益財団法人長寿科学復興財団『通所介護（デイサービス）とは』

理学療法士の介護分野での役割

理学療法士は、身体機能の維持・向上を目標に、機能訓練やマッサージ、運動療法などを行います。自宅で生活する上で難しい動作の確認なども行い、今後も安全に在宅生活を続けていけるようにリハビリを提供します。

高齢化社会の今、理学療法士は介護分野において重要な役割を担うこととなるでしょう。

デイサービスでの理学療法士の仕事内容

デイサービスで働く理学療法士は、身体に関する知識を活かしながらさまざまな業務を行う必要があります。

デイサービスにおける理学療法士の詳しい仕事内容について、解説します。

個別機能訓練計画書の作成

個別機能訓練加算を取得している場合、利用者一人ひとりに個別のリハビリプログラムを作成する必要があります。

ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに、利用者の状態や生活の様子に合わせて適切なリハビリの計画書を作成します。

個別リハビリの実施

個別機能訓練計画書で立案したリハビリプログラムを実施します。主にマッサージやストレッチ、可動域訓練、基本動作訓練、生活関連動作訓練、日常生活動作訓練を行い、生活で必要となる動作の獲得ができるように支援します。

これらの個別リハビリを一定期間実施したら、定期的に評価を行い、身体の状態を確認することも大切です。

今行っているリハビリが合っているか、修正が必要なのかを判断し、常に利用者の身体機能が向上するように努めます。

集団リハビリの実施

個別の機能訓練の他に、複数人で行う集団リハビリも実施します。

集団リハビリは、何名かの集団で運動を行うため、運動が苦手な方でも楽しくリハビリに取り組んでもらえるというメリットがあるでしょう。

住環境の提案

デイサービスは、在宅で生活をしている方が多く利用している施設です。

そのため、利用者の身体機能を踏まえて手すりをつけたほうがよいか、ベッドの位置が適切かどうかなどの住環境に対する提案を行います。

利用者の家屋状況を把握した上で、安全に生活できる環境作りをサポートすることも、理学療法士の仕事の一つです。

適切な福祉用具の選定

杖や歩行器、車椅子などの福祉用具の選定を行います。

今使っている福祉用具が身体に合ったものか、適切に使用できているかなどを判断し、より安全に生活ができるようにサポートします。

生活環境や身体の状態によって選定する福祉用具が変わってくるため、一人ひとりの身体の状態に合わせてアドバイスを行うことが大切です。

その他の業務

デイサービスは、一般的に送迎やレクリエーション、トイレ介助や入浴介助などのサービスを提供する施設です。これらの業務は介護職がメインで実施しますが、事業所によって介護職の補助などの仕事をすることもあるでしょう。

反対に、リハビリ特化型のデイサービスは、介護度が低い方が利用する場合が多いため、介護職の補助をすることは少ない可能性があります。

理学療法士がデイサービスに勤務するメリット

デイサービスで働く理学療法士は、病院とは違った学びを得ることができます。

理学療法士がデイサービスで勤務するメリットについて解説します。

維持期のリハビリに携われる

病院の場合、主に急性期や回復期の患者のリハビリを行いますが、デイサービスでは維持期の利用者のリハビリを実施します。在宅生活を続けていく上で、維持期のリハビリはとても重要であり、病院では得られないスキルの習得を目指すことが可能です。

また、デイサービスにはさまざまな疾患を持つ利用者が利用しています。そのため、疾患についての知識やリハビリのアプローチの方法など、幅広く学ぶことができるでしょう。

さまざまな職種とチームで利用者に関わることができる

デイサービスには、介護福祉士や生活相談員、看護師などのさまざまな職種がチームで仕事をしています。それぞれの職種の専門性を活かしチームアプローチをすることで、利用者にとってより良いサービスを提供できます。

また、他の職種の意見を聞くことで、介護に対する考え方や幅広い知識の習得につながるでしょう。

病院よりも給与面などの待遇が良い場合がある

デイサービスは、病院と比べて比較的残業が少なく、給料も高い傾向にあります。

土日休みの事業所もあるため、プライベートの時間を大切にしたい方や、家庭との両立を考えている方におすすめです。

理学療法士がデイサービスに勤務するデメリット

病院勤務からデイサービスに転職した場合、仕事内容の違いに戸惑うこともあるでしょう。

理学療法士がデイサービスに勤務する上で、デメリットと感じやすい点について解説します。

病院よりも理学療法士としてのスキルアップが難しい

病院は研修や勉強会などの教育体制が整っていることが多く、先輩の理学療法士から指導を受けることができます。

一方デイサービスは、事業所に理学療法士が1名などと配置人数が少なく、研修などの教育体制が整っていない場合もあります。

スキルの習得という面では、病院には劣る可能性があるでしょう。

デイサービスなどの介護施設は、研修体制を整えるなど、理学療法士が安心して働ける環境を整えることが大切です。

利用者の対応が難しい場合がある

デイサービスには、認知症の方や精神疾患を患っている方なども多く利用されています。初めて介護施設で勤務する場合は、対応に戸惑うこともあるでしょう。

また、利用者全員がリハビリに意欲的とは限りません。そのため、どのようにすれば運動をしてもらえるか、という対応も難しいところでしょう。

介護職のサポートをすることもある

デイサービスに限らず、介護施設は介護職の人手不足が懸念されています。そのため、トイレ介助や入浴介助、食事介助などの介護職のサポートをすることもあります。

事業所によって仕事の境目が曖昧な場合があるため、リハビリ業務だけに集中しにくいといった欠点があるかもしれません。

介護職のサポートが多いことで、リハビリ業務がおろそかになることがないように配慮する必要があるでしょう。

まとめ

デイサービスにおける理学療法士の役割は、利用者の身体機能の維持・向上を目標に、安全な在宅生活を支えることです。病院勤務とは違い、維持期のリハビリを経験できる他、さまざまな疾患を持つ利用者と接することができるメリットがあります。

また、さまざまな職種とチームで仕事を進めるため、幅広い知識を習得できる可能性があるでしょう。

今後ますます高齢化が進み、デイサービスでの理学療法士の需要は高まります。デイサービスで勤務するメリット・デメリットを把握し、理学療法士が安心して介護分野で活躍できるような環境を整えましょう。

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