
毎年、代わり映えのしない目標を立ててしまい、マンネリを感じてはいませんか?リーダーとしてチームを率いる中で、部下が主体的に動いてくれるような目標設定ができず、悩むことも多いでしょう。
本記事では、施設の方針とスタッフの個性を活かした、実践的な介護のユニット目標例をテーマ別に解説します。また、上司に評価される目標を作る5つの手順や運用時のよくある質問についても紹介します。
この記事を読めば、形骸化した目標から脱却し、チームの結束力を高める具体的なヒントが得られますので、ぜひご覧ください。
施設方針と強みを活かすユニット目標設定
効果的な介護のユニット目標を作るには、施設の方針とチームの強みを掛け合わせる必要があります。
ここでは、目標が形骸化する原因を知り、組織のビジョンと職員の個性を融合させた、実効性のある目標設定の方法について解説します。
毎年同じ目標になってしまう根本原因を理解する
毎年目標が変わらない主な原因は、現状把握の不足と、上からの指示で決める「やらされ感」にあります。現場の課題が不明確なままでは、抽象的なスローガンに終始してしまいます。
利用者の状況やヒヤリハットの発生傾向を分析せずに「安全な介護」と掲げても、具体的な改善行動にはつながりません。また、評価基準があいまいだと達成感を得られず、次年度も同じ内容を繰り返す結果を招きます。
現在のスキルに見合った適切な難易度を設定し、職員の意向を反映させることが、マンネリ脱却には必要です。
施設全体のビジョンとユニットの役割を紐づける
ユニットの目標は、施設全体の理念や中長期の事業計画と方向性を合わせる必要があります。組織の方針と現場の動きが連動してこそ、適切なケアや組織全体の成果が実現できるからです。
施設全体で「感染症対策の強化」を掲げているなら、ユニットでは「手指消毒の徹底」や「共有物の衛生管理」といった具体的な行動に落とし込みます。施設が求める要素とチームの得意分野を重ね合わせる視点も有効でしょう。
上位方針と足並みを揃えることで、ユニットの取り組みが顧客満足度や経営への貢献につながります。
職員のスキルや性格を分析して強みを見つける
職員一人ひとりの強みを活かした目標設定は、ストレスなく大きな成果を生み出すために有効です。得意な業務を任せることは、本人のモチベーション維持や専門スキルの向上に直結します。
データ分析が好きな職員にはヒヤリハットの集計を任せるなど、性格や適性に応じた役割分担が効果的です。強みを見つける際は、以下の視点で分析しましょう。
- 経歴や資格、具体的な介護技術を書き出してスキルを棚卸しする
- 数字に強い、話を聞くのがうまいなど個人の性格や適性を知る
- 経験年数に応じた役割を与え責任感と当事者意識を高める
それぞれの長所を活かせる役割を1人1個以上設定し、運営計画に盛り込んでください。
【テーマ別】介護施設のユニット目標の具体例
マンネリを打破し、チームを成長させるには、テーマごとに明確な成果地点を設定する必要があります。
ここでは、自立支援や人材育成など、分野別の介護のユニット目標例を紹介します。これらを参考に、自施設の課題に合わせた実践的な内容を考えてみてください。
【自立支援】科学的介護やICT活用を取り入れた目標例
科学的介護やICT機器を活用し、客観的なデータで睡眠や覚醒のリズムを把握すれば、より適切なタイミングでのケアが可能になります。
目標の具体例として「見守りセンサーで睡眠状態を分析し、覚醒時に合わせて排泄誘導をする」「夜間の不要な訪室を減らし、利用者の安眠と中途覚醒の改善を図る」などが挙げられます。
テクノロジーの活用は、利用者の生活リズムを整え、職員の業務負担を減らすことにもつながるでしょう。
【人材育成】研修報告や役割分担でチームを育てる目標例
職員の専門性を高めるには、明確な役割分担と知識の共有が必要です。研修で得た知識をチームに還元したり、責任ある立場を任せたりすると、組織全体のレベルが上がります。
具体例を挙げると「感染対策リーダーとして手洗いチェック表を運用する」「レク企画担当として毎月のイベント案を作成する」といった目標が有効です。
一人ひとりが具体的な役割をもつことで当事者意識が芽生え、自ら考える強いチームが育ちます。
【安全管理】ヒヤリハット報告数や環境整備の目標例
事故を未然に防ぐため、気づきを共有する文化を作りましょう。小さな異変の報告こそが、重大な事故を防止する最大の防御策になります。
たとえば「ヒヤリハット事例を毎月分析し、環境改善を1件以上実施する」「服薬時は指差し呼称をし、誤薬ゼロを継続する」といった目標が具体例として適しています。
環境チェックや声かけの徹底は、利用者と職員双方の安全を守る重要な土台となるでしょう。
【QOL向上】外出支援や個別レクで生活を彩る目標例
個別のニーズに合わせた支援は、生きる意欲を引き出し生活の質を高めます。
具体例としては「入居前の趣味である囲碁を再開し、月1回は対局の場を設ける」「季節の花を見に近隣の公園へ散歩に出かける」などの目標がおすすめです。
対話を重ねて本人の希望をくみ取り、その人らしい豊かな時間をサポートしましょう。
【接遇・連携】丁寧な言葉遣いや記録充実の目標例
丁寧な言葉遣いと正確な記録は、信頼関係を保つための柱です。情報を正しく伝えると、ケアの質が均一化し、多職種間の連携もスムーズになります。
目標の具体例には「利用者には必ず敬称を使い、目線の高さを合わせて会話する」「SOAP方式を用いて記録し、ケアの根拠を明確にする」といった内容を取り入れてみてください。
記録の充実とマナーの徹底は、チーム全体の信頼性を高め、質の高いサービス提供につながります。
関連記事:介護記録を効率化する「SOAP」とは?例文とポイントを解説
評価されるユニット目標を作る5つの手順

施設長や上司に評価される目標を作るには、プロセスと根拠の明確化が不可欠です。
ここでは、現状分析から最終的な書き方まで、介護のユニット目標例を作成するための5つのステップを解説します。
データに基づきユニットの現状課題を分析する
適切な目標を設定するための第一歩は、客観的な情報をもとに現状を正しく把握することです。主観的な印象ではなく、記録や会議データを用いて課題を洗い出す必要があります。
具体的には「利用者の個別ニーズ」「ヒヤリハットの発生傾向」「スタッフ間の連携状況」などをリストアップします。分析の際は、現在の力を100%としたとき、120%の努力で届くレベルの課題を見つけましょう。
適切な難易度設定は、チームのモチベーション維持に不可欠です。
1年後のゴールから逆算して期間ごとの短期目標を作る
現状把握ができたら、次に「どうなっていれば理想的か」という1年後のゴールを設定し、そこから逆算してステップに分割します。
たとえば「転倒件数を前年比〇%削減する」という長期目標に対し、1〜3月単位で「6月までに移乗介助研修を修了する」といった短期目標に落とし込みます。明確な期限を設けることで、チーム全体の意識が統一され、実行力が高まるでしょう。
大きな目標を細分化すると、進捗が見えやすくなり挫折しにくくなります。
誰が何をするか具体的な行動計画に落とし込む
目標を形だけの計画にしないためには、現場で誰がどう動くかというアクションプランを決定するとよいでしょう。職員の長所を活かし「1人1つ以上の役割」を与えることで、具体的な行動につながります。
たとえば「衛生管理担当」や「記録チェック担当」など具体的な役割を決め「毎週〇曜日に確認する」といったレベルまで手順を詳細化します。
また、利用者に「家庭に近い生活」を送ってもらうには、職員による対応のばらつきをなくすことが欠かせません。手順を統一し、誰でも同じ質のケアができる体制を整えましょう。
達成基準を明確にし「できた・できない」を評価する
目標の達成度を客観的に判断できるよう、数値や具体的な状態による基準を設けます。基準があいまいだと、正当な評価ができません。
「レク参加率を〇%にする」「ヒヤリハット報告を月〇件出す」など、誰が見ても判断できる指標にします。結果だけでなく、新しい仕組みへの取り組み姿勢といったプロセスも評価対象に加えましょう。
定期的な会議でPDCAを回し、状況に応じて柔軟に目標を修正していくことで、達成基準を明確にできます。
提出時に伝わりやすい書き方に整える
最後に、ユニットの取り組みが組織にどう貢献するかを明確に示す書き方に整えます。施設の方針や事業計画と自分たちの目標がどう連動しているかを示すと、説得力が増します。
「5W1H」を意識して情報を整理し、言葉で伝わりにくいケア方法は写真や図を添付して補足しましょう。
なぜこの目標が必要なのかという「根拠」を冒頭に据えることで、上司も納得しやすい質の高い計画書が完成します。
介護施設のユニット目標についてよくある質問
運用を始めると、スタッフの反応や修正のタイミングなど、新たな悩みが出てくるものです。
ここでは、よくある質問に答えながら、介護のユニット目標例をうまく活用するコツを紹介します。柔軟な運営で、チームの結束力を高めましょう。
目標に対しスタッフが非協力的な場合の対応法は?
スタッフが協力してくれないときは、その人の得意分野と施設の狙いを重ね合わせてみてください。一方的に押し付けられたと感じると、人はどうしても反発してしまいます。
数字に強い人には記録の分析、話すのが好きな人にはレクの進行といった具体的な役割を任せてみましょう。本人の強みが活きるとわかれば、自然と前向きな責任感が芽生えます。
それぞれの適性に合った役割を与え、結果だけでなく取り組む姿勢も評価すると、チーム全体が主体的に動き出します。
期の途中で目標を変更してもいい?
目標は一度決めたら固定するのではなく、状況に合わせて柔軟に見直していくべきです。計画・実行・評価・改善のPDCAサイクルを回し、より良いケアにつなげるのが本来の目的といえます。
利用者の体調が急変したり、計画どおりに進まなかったりしたときは、無理に続けず修正を検討します。あらかじめ代替案を考えておくのも良いでしょう。
リスクを避けるためにも、現場の実情に合わせて計画を更新し続けることが、質の高いケアを維持するポイントです。
精神論ではない具体的な数値目標の立て方は?
スローガンで終わらせないためには、誰が見ても達成度が判断できる数字を盛り込みましょう。「安全な介護」といった言葉だけでは、できたかどうかの判断が人によって分かれてしまいます。
わかりやすい目標にするには、以下の表現を参考にしてください。
- 転倒事故の発生件数を前月より2割削減する
- 週に3回は外の空気に触れる散歩に出かける
- 1日1,500ml以上の水分を摂取できるように支援する
数字や回数を明確に決めると具体的な行動に移せ、チーム全員で達成したときの喜びを分かち合えます。
まとめ
本記事では、マンネリ化を防ぎチームを成長させるための介護のユニット目標例と、評価される設定プロセスについて解説しました。
毎年同じような目標になってしまうのは、現状把握が足りず、やらされ感で動いていることが原因です。実効性のある目標にするためには、施設全体のビジョンと職員一人ひとりの強みを掛け合わせ、数字を用いた具体的なアクションプランに落とし込むとよいでしょう。
まずは、メンバーの得意分野や興味を書き出し、誰が何を担当するかという小さな役割分担から始めてみてください。個性を活かした役割は職員の主体性を引き出し、リーダーが指示しなくても自律的に動く強い組織へと進化させます。
全員で達成感を味わえる目標を設定し、利用者にも職員にも選ばれる質の高いユニットを目指しましょう。
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証券会社勤務後、広告代理店兼防災用品メーカー勤務。経営管理部を立ち上げ、リスクマネジメント部を新たに新設し、社内BCP作成に従事。個人情報保護、広報(メディア対応)、情報システムのマネジメント担当。NPO事業継続推進機構関西支部(事業継続管理者)。レジリエンス認証の取得、更新を経験。レジリエンス認証「社会貢献」の取得まで行う。レジリエンスアワードとBCAOアワードの表彰を受ける。現在では、中小企業向けBCP策定コンサルティング事業部を立ち上げ、コーディネーターとして参画。
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