loader image

2023/10/17

外国人雇用管理士とは?取得するメリットや試験の概要・難易度を解説

西條 徹

西條 徹

介護職員の人手不足などから、外国人労働者の雇用を考えている事業所もあるでしょう。しかし、外国人労働者の書類の手続きについて理解していない場合、対応の難しさを感じてしまうかもしれません。

外国人雇用管理士は、外国人を雇用する上で必要な知識を習得できる資格です。この資格を取得していれば、外国籍の方の雇用に関する手続きを的確に進めていくことが可能になります。

外国人雇用管理者とは具体的にどのような資格なのか、取得するメリットや試験の概要を解説します。

この記事を読むと、資格の概要や受験する際の流れを理解できるでしょう。

外国人雇用管理士とは

そもそも外国人雇用管理士という資格はどのような資格なのでしょうか?

外国人雇用管理士の概要と、外国人雇用管理責任者との違いについて解説します。

外国人雇用管理士の概要

外国人雇用管理士は、外国人を雇用する際の正しい知識やノウハウを持ち合わせていると証明するための民間資格です。

外国籍の方を雇用する場合、日本人の雇用契約とは異なる煩雑な手続きを行う必要があります。そのような手続きに対応できるように、外国人の雇用をサポートできる人材を育成する目的で創設されました。

会社にこの資格を取得している社員がいれば、初めて外国籍の方を雇用する際も安心して契約ができるでしょう。

参考:一般社団法人東京都外国人就労認定機構『外国人雇用管理士

外国人雇用管理士と外国人雇用管理主任者との違いは?

外国人雇用管理士と外国人雇用管理主任者は、資格の内容自体はほぼ同じです。しかし、実施する団体や試験方法に違いがあります。

外国人雇用管理士は、一般社団法人東京都外国人就労認定機構が実施しており、マークシート方式の試験です。

外国人雇用管理主任者は、LEC東京リーガルマインドが運営する団体の「外国人雇用支援センター」が実施しており、パソコン上のCBT方式による試験です。

実施期間や受験料なども多少違いがあるため、自分に合った資格の取得を検討してください。

外国人雇用管理士を取得するメリット

外国人の雇用手続きを円滑に行うためにも、それらの正しい知識を持ち合わせていることは重要です。

外国人雇用に関わる人事や総務の担当者がこの資格を取得することは、さまざまなメリットがあります。

外国人雇用管理士の資格を取得するメリットを解説します。

スムーズな外国人雇用が可能になる

外国人を雇用する際は、在留資格の確認や雇用保険加入の手続きなど複雑な事務作業が多く、時間がかかってしまう場合も少なくありません。

外国人雇用管理士を取得し、これらに関わる法的な知識やさまざまな手続きを把握することで、スムーズに雇用契約を進めることができます。

また、外国人労働者の雇用は在留資格や就労ビザなどの知識が必要です。知識がないまま外国人労働者を採用してしまうと、不法滞在や不法就労を見逃してしまうことがあります。

この場合、会社側も不法就労助長罪に問われる可能性があるため注意が必要です。

会社側のリスクを軽減するためにも、資格の取得は大きなメリットといえるでしょう。

外国人労働者とのトラブルに対応できる

この資格では、外国籍就労者の労働条件や社会保障、在留資格の種類や外国籍労働者の不法就労などの科目を学びます。

これらの知識を得ることで、外国人労働者の人権を守ることができ、トラブルが起きた場合も正しい対応ができるでしょう。

異文化についての知識が深まる

日本という違う文化の国で働く外国人労働者は、習慣や食文化などの違いにより不安になったり、なかなか文化に馴染めなかったりすることもあります。

日本人が異文化について理解を深めることで、お互いの文化の違いを尊重でき、良好な関係で仕事を行うことができます。

外国人労働者に安心して労働してもらえる環境を整えることで、長期にわたる就労につながるでしょう。

外国人雇用管理士を取得するには?

外国人雇用管理士は、どのような人が受験可能なのでしょうか?

取得するための受験資格や試験の日程、内容や難易度について解説します。

受験資格

受験に必要な資格は特にありません。受けたい方が誰でも受験できる資格です。

しかし、以下のいずれかに該当する場合は、試験合格後の登録を行うことができません。

  • 成年被後見人、または被保佐人。
  • 禁固以上の刑に処され、刑の執行が完了または刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過していない方。
  • 破産者で復権を得ていない方。

試験の日程・試験時間

試験は年1回開催され、試験時間は2時間です。

合格発表は試験日より約1ヶ月後で、メールや東京外国人就労認定機構の会員マイページより確認できます。

試験日程が年に1回と少ないため、しっかりと準備をして試験に臨みましょう。

試験内容

外国人雇用管理士試験は、択一試験(50問4肢択一)でマークシート方式です。

試験科目は以下の通りです。

  • 外国籍就労者の募集および採用
  • 外国人就労者の労働条件
  • 外国人就労者の安全衛生
  • 外国人就労者の社会保障
  • 適切な人事と福利厚生
  • 在留資格の種類
  • 労働契約の終了
  • 外国籍労働者の不法就労
  • 異文化理解

この試験には、公式のテキストがあります。まずは、テキストを活用して勉強を進めましょう。公式テキストだけでは不安という方は、試験直前対策講座も行われています。この講座は動画を視聴する形で行うため、わからないところを何度も繰り返し視聴して確認できます。

試験直前対策講座を受講した方は、試験問題が5問免除(有効期限2年)となります。

外国人雇用管理士試験の難易度や合格率は? 

合格率と合格基準については非公開とされていますが、それほど難易度の高い試験ではありません。

しかし、公式テキストの範囲外の問題も多く、事例を組み合わせた問題も多く出題されるため、よくある事例などの確認もしておくとよいでしょう。

外国人雇用管理士試験合格後の流れ

外国人雇用管理士試験は、試験に合格するだけでは資格を取得できません。

試験合格後の流れについて、詳しく解説します。

外国人雇用管理士の登録をする

試験に合格したら、まずは外国人雇用管理士の登録を行いましょう。試験合格の有効期限は4年間なので、4年の間に登録を行う必要があります。もし登録を行わなかった場合は、合格が無効になるため注意しましょう。

また、登録する際に「外国人雇用管理士登録講習受講申込書」と証明写真を2枚提出し、次のいずれか1点を提出する必要があります。

  1. 自動車運転免許証
  2. 運転経歴証明書(交付年月日が平成24年4月1日以降のものに限る)
  3. 健康保険、国民健康保険または船員保険等の被保険者証
  4. 登録申請日より3カ月以内に発行された住民票(コピー不可・本籍と続柄が省略された本人のみ記載住民票に限る)
  5. 在留カード

書類に不備がないか確認し、速やかに登録を済ませましょう。

講習会を受講する

登録後は、年に1回開催されている「外国人雇用管理士登録講習会」に参加する必要があります。

インターネット上で配信するビデオ登録講習会を自宅などで受講して、受講済みの方に外国人雇用管理士資格証(登録証)が交付されます。

この講習を受講した方が有資格者であり、「外国人雇用管理士」と名乗ることができるのです。

まとめ

外国人雇用管理士は、外国人を雇用する際の正しい知識やノウハウを持ち合わせていると証明するための民間資格です。

外国人を雇用する際、日本人雇用とは異なる煩雑な手続きを踏む必要があります。これらの手続きを円滑に進めるためにも、外国人雇用に関する知識を持ち合わせていることで、会社側も雇用される側も安心した契約が可能となります。

今後社内で外国人の雇用を考えている場合は、スムーズな外国人雇用ができるよう資格の取得を検討しましょう。

関連記事

訪問介護の夜間加算は開始時間に注意!要件や留意点をやさしく解説

シフト制での希望休|介護事業におけるルール設定について解説

防災⼠の詳細はこちら

証券会社勤務後、広告代理店兼防災用品メーカー勤務。経営管理部を立ち上げ、リスクマネジメント部を新たに新設し、社内BCP作成に従事。個人情報保護、広報(メディア対応)、情報システムのマネジメント担当。NPO事業継続推進機構関西支部(事業継続管理者)。レジリエンス認証の取得、更新を経験。レジリエンス認証「社会貢献」の取得まで行う。レジリエンスアワードとBCAOアワードの表彰を受ける。現在では、中小企業向けBCP策定コンサルティング事業部を立ち上げ、コーディネーターとして参画。