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2024/06/28

デイサービスの人員基準とは?|最低人数から資格要件まで解説

西條 徹

西條 徹

デイサービスの人員基準

デイサービスを運営するにあたって、どれくらいの人員が必要なのか気になる方もいるのではないでしょうか?特に、新たにデイサービスを開業する場合には、最低限の人員や、それぞれの職種に求められる資格要件を把握することが重要です。

この記事では、デイサービスの人員基準について、各職種の最低人数と役割、さらにその職種に求められる資格要件について詳しく解説します。

この記事を読むことで、デイサービスの運営に必要な人員配置の基準を理解し、適切なスタッフ構成を行うための情報を得ることができるでしょう。

デイサービスの人員基準で定められた最低人数

デイサービスの人員基準について、まずは最低人数がどのように定められているかを確認しましょう。

  • 管理者の最低人数と役割
  • 生活相談員の最低人数と役割
  • 看護職員の最低人数と役割
  • 介護職員の最低人数と役割
  • 機能訓練指導員の最低人数と役割

それぞれ解説します。

管理者の最低人数と役割

管理者は常勤で1名を配置します。

人員基準を満たす範囲内であれば、管理者は他の役職を兼務することも可能です。兼務可能な職種としては、機能訓練指導員・介護職員・看護職員・生活相談員が挙げられます。

管理者は、多岐にわたる管理業務を担当します。具体的には、職員のシフト作成や出勤状況の確認、サービスの利用状況の把握と改善策の検討などが挙げられます。

そのため、管理者として働くためには、兼務可能な職種の業務内容を把握しておく必要があります。将来管理者を目指す方は、これらの職種の資格を取得し、実務経験を積むことが望ましいでしょう。

生活相談員の最低人数と役割

生活相談員は、1名以上配置することが義務付けられています。

生活相談員は、利用者やそのご家族からの相談や指導に対応する重要な役割を担います。具体的には、介護サービスの利用に関する手続きや、日常生活における悩みや不安の相談など、きめ細やかなサポートを提供します。

さらに、利用者が10名以上の場合、生活相談員・介護職員のうち1名を常勤で配置する必要があります。

看護職員の最低人数と役割

看護職員は、利用定員が10名以上の場合、常勤・非常勤問わず1名以上の配置義務があります。

一方、利用定員が10名以下の場合、看護職員・介護職員・生活相談員のいずれかを常勤で1名以上配置しなければなりません。

看護職員の役割は、利用者の健康チェックや介護のサポートなどが主になります。

介護職員の最低人数と役割

介護職員の人員配置は、利用者の人数に応じて変動します。

介護職員は、食事や入浴の介助といった介護業務全般に加え、送迎などの付随業務も担う重要な存在です。そのため、利用者への適切なサービス提供のため、人員基準が細かく定められています。

利用者数が15名以下の小規模な事業所では、少なくとも1名以上の介護職員が必要です。

一方、利用者数が16名以上の場合、人員基準は「利用者数の15人を超える人数を5で割り、1を足した人数」となります。仮に利用者数が25名の事業所であれば、「(25-15)÷5+1=3」となり、3名以上の介護職員が必要となります。

このように、介護職員の人員配置は、利用者数に応じて柔軟な対応が求められています。

機能訓練指導員の最低人数と役割

機能訓練指導員は、利用者数にかかわらず、少なくとも1名を配置することが求められています。

これは、機能訓練が利用者のQOL(生活の質)向上に大きく貢献することから、どの事業所でも専門的な指導を提供できるようにするための配慮です。

機能訓練指導員は、利用者の身体機能の維持・向上を目的とした訓練プログラムを作成・実施します。これにより、利用者が日常生活をよりスムーズに送れるようサポートします。

それぞれの職種に求められる資格要件

デイサービスの人員

それぞれの職種に求められる資格要件について、主に以下の5つのポイントを確認しておきましょう。

  • 管理者は資格が必要?
  • 生活相談員に求められる資格要件
  • 看護職員に求められる資格要件
  • 介護職員に求められる資格要件
  • 機能訓練指導員に求められる資格要件

それぞれ解説します。

管理者は資格が必要?

管理者には特定の資格は求められません。ですが、管理者には一定の能力や経験が求められます。

なぜなら、管理者は施設全体の運営管理を担う重要な役割を果たすからです。管理者がしっかりと業務を遂行することで、施設が円滑に運営され、利用者も安心してサービスを受けることができるでしょう。

生活相談員に求められる資格要件

生活相談員として働くには、専門的な資格が必要です。

生活相談員は、利用者や家族の抱えるさまざまな問題に対して、専門的な知識と経験に基づいた適切なアドバイスや支援を行うためです。

具体的には、社会福祉士、社会福祉主事、精神保健福祉士といった資格が、生活相談員の資格要件として定められています。

これらの資格を取得することで、生活相談員として必要な知識やスキルを習得し、利用者や家族にとって頼りになる存在となることができるでしょう。

看護職員に求められる資格要件

看護職員として働くには、看護師または准看護師の資格が必要です。看護職員は、利用者の健康管理や医療処置など、専門的な知識と技術に基づいた看護ケアを提供するためです。

例えば、バイタルサインの測定、服薬管理、褥瘡の予防や処置、緊急時の対応など、利用者の健康と安全を守るために重要な役割を担います。

看護師は、より高度な知識と技術を必要とする医療行為を行うことができ、准看護師は、看護師の指示のもとで看護業務ができます。

いずれの資格も、利用者の生活を支え、安心してデイサービスを利用していただくために欠かせないものです。

介護職員に求められる資格要件

介護職員には、特定の資格要件は定められていません。しかし、安心して介護サービスを提供するためには、可能な限り有資格者を配置することが求められます。

例えば「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」などがあります。これらの資格を持っていることで、専門的な介護が提供でき、利用者や家族に対する安心感が生まれるでしょう。

機能訓練指導員に求められる資格要件

機能訓練指導員に求められる資格は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの資格です。これらの資格は、専門的な訓練と国家試験に合格することで取得できます。

また、看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師も機能訓練指導員として認められます。

このように機能訓練指導員には、法的に定められた資格を保持していることが重要です。資格を持つことで、利用者に安心してサービスを提供できるでしょう。

まとめ

デイサービスの人員基準について、職種ごとの最低人数をまとめると以下のとおりになります。

  • 管理者:1名
  • 生活相談員:1名
  • 看護職員:利用者10名以上で1名(10名以下の場合、看護職員・介護職員・生活相談員のいずれか1名)
  • 介護職員:利用者15名以下で1名(16名以上の場合「利用者数の15人を超える人数を5で割り、1を足した人数」)
  • 機能訓練指導員:1名

管理者には資格要件はありませんが、ほかの職種にはそれぞれ必要な資格が定められています。介護職員は資格要件こそないものの、直接利用者に接するため、有資格者を優先して採用することが求められます。

これらの基準を守り、適切な人員配置を行い、必要な資格を持つスタッフを確保することで、質の高いサービスを提供し、利用者の満足度を高めましょう。

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証券会社勤務後、広告代理店兼防災用品メーカー勤務。経営管理部を立ち上げ、リスクマネジメント部を新たに新設し、社内BCP作成に従事。個人情報保護、広報(メディア対応)、情報システムのマネジメント担当。NPO事業継続推進機構関西支部(事業継続管理者)。レジリエンス認証の取得、更新を経験。レジリエンス認証「社会貢献」の取得まで行う。レジリエンスアワードとBCAOアワードの表彰を受ける。現在では、中小企業向けBCP策定コンサルティング事業部を立ち上げ、コーディネーターとして参画。