
「防災士は何ができるの?」と疑問に思っていませんか?防災士の資格を取ったら、どんな場面で役立つのか、実際にどんな活動をするのかが気になる方も多いでしょう。
本記事では、防災士の具体的な役割や活動内容をわかりやすく解説します。平常時と災害時、それぞれでどんなことができるのかを詳しく紹介します。
この記事を読めば、防災士としてできることが明確になり、資格をどう活かせるのかがわかります。防災士を目指している方や、防災に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
防災士は何ができる?
防災士は「自助・共助・協働」を基本理念として、地域や職場で防災活動を進める専門家です。
防災士は全国に約30万人おり、自治体や企業、学校、福祉施設などさまざまな場で活躍しています。防災士の人口は年々増えており、地域防災の中心的な存在として期待されています。
では、防災士の具体的な役割を詳しく見ていきましょう。
参考:日本防災士機構『防災士とは』
防災士の役割とは
防災士の役割は、大きく3つに分かれます。1つ目は、家庭や職場での防災対策を進めること。2つ目は、地域の人たちと協力し、災害に強いまちづくりをすること。3つ目は、災害が発生したときに避難誘導や支援活動を行うことです。
防災士がこのような役割を果たせるのは、専門的な知識や技術を学んでいるからです。たとえば、地震や津波、火災が起きたときの対策だけでなく、避難所の運営や応急手当についても学びます。そのため、もしもの時には、周りの人をサポートできるのです。
過去の大きな災害でも、防災士は避難所の運営を手伝い、食料を配ったり、トイレの管理をしたりしました。また、自治体と協力して防災マップを作り、住民向けの防災講座を開いた例もあります。
このように、防災士は災害の前から後まで、地域の安全を守るために活動します。
防災士が平常時にできること
防災士の仕事は、災害が起きてからだけではありません。普段から備えをしっかりすることが、大きな被害を防ぐことにつながるからです。防災士は、家庭・職場・地域の3つの場面で防災活動を進めます。
まず、家庭では、自宅の耐震対策や家具の固定、非常食や水の備蓄をサポートします。また、避難場所や連絡手段を決めておくことも大切です。こうした準備が、いざというときに自分や家族を守ることにつながります。
職場では、従業員向けの防災訓練を企画し、地震が起きたときの対応や避難ルートの確認を行います。また、会社の防災計画を見直し、災害後に業務を続けられるようにBCP(事業継続計画)を作ることも。
地域では、自治会や消防団と協力し、避難訓練や防災ワークショップを開きます。これにより、地域全体の防災意識が高まり、いざという時に助け合える関係を作ることができるのです。
このように、防災士は平常時から防災対策を進めることで、災害が起きたときの被害を減らし、地域の安全を守る役割を担っています。
防災士が災害時にできること
災害が発生すると、防災士は周りの人たちを助けるためにさまざまな行動をします。特に、避難誘導や応急手当、避難所の運営などが主な役割です。
災害が起きた直後、防災士はまず自身の安全を確保しながら、周囲の人々の避難を支援します。建物の安全性を素早く判断し、安全な避難経路へ人々を誘導します。また、小規模な火災に対する消火器を使った初期消火も大切な役割です。
防災士は救急救命講習を受けているため、負傷者に対して適切な応急処置もできます。救急車が到着するまでの貴重な時間に、命を救う処置を行います。
避難所が開設されたあとは、避難者が安心して生活できるよう、食料や水の配布、衛生管理、プライバシーを守るためのスペース分けなどを行います。
このように、防災士は災害時に適切な判断をしながら、地域の人々をサポートします。大きな混乱の中でも、冷静に行動できるように日ごろから準備をしておくことが、防災士に求められる大切な役割です。
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防災士になるメリットと課題
防災士資格を取得すると、災害時に役立つ知識や技術を学べるだけでなく、地域や職場での防災リーダーとして活躍できます。
しかし、防災士の活動には課題もあり、資格を取っただけでは十分に生かせないこともあります。ここでは、防災士のメリットと直面する課題について詳しく解説します。
防災士資格を取得するメリット
防災士資格を取得すると、災害時に冷静に対応できるスキルが身につきます。地震や津波の基礎知識、避難計画の立て方、応急手当など、災害に強くなるための知識を幅広く学べるのが大きな特徴です。
また、防災士は地域や職場でリーダーシップを発揮する場面が多くあります。たとえば、自主防災組織や消防団と協力し、避難訓練の企画や防災講習の講師として活躍する人もいます。
さらに、防災士の資格を持つことで、自治体や企業との連携が強化される点も魅力です。防災士が地区防災計画の策定を支援する例も増えており、企業では従業員向けの防災訓練に活用されています。
資格取得をきっかけに、自分の家庭だけでなく、地域全体の防災力向上に貢献できる点が、防災士の大きなメリットです。
防災士の活動で直面する課題
防災士の活動には多くのメリットがありますが、実際に活躍する場が限られていることが大きな課題となっています。資格を取得しても、地域や職場での活動機会が少なく、知識を活かせないケースも少なくありません。
特に問題とされているのは、防災士の法的な権限がないことです。公的機関と違い、防災士には避難誘導や指揮をする権限がなく、災害現場での実践的な活動が難しい場合があります。また、避難所運営などの実務経験が不足しがちで、知識と実際の対応能力に差が出てしまうこともあります。
さらに、防災士のスキルを継続的に向上させる研修が少ないことも課題です。資格を取得して終わりではなく、最新の防災情報や技術を学び続ける必要があります。防災士として本当に役立つためには、活動の場を増やし、継続的な学習ができる環境が必要といえるでしょう。
防災士は本当に役に立つのか?
防災士は、災害のときに地域や職場で役立つ資格ですが「本当に意味があるのか?」と疑問に思う人もいます。結論として、資格を取るだけでは十分に役に立てない場合があります。
防災士が役立つ場面として、地域の防災意識を高めることが挙げられます。たとえば、長野県辰野町では、防災士連絡協議会が非常持出品セットの監修を手がけ、住民の備えに貢献した事例があります。
一方で、防災士には法的な権限がなく、できることに限りがあるという課題もあります。たとえば、災害時に避難の指示を出せるのは自治体や消防、警察などの公的機関ですが、防災士にはその権限がありません。また、資格を取っても実際に活動する機会が少ないと、せっかく学んだ知識やスキルが生かせないこともあります。
つまり、防災士は「資格を持っているだけで役立つ」わけではなく、地域や職場で積極的に活動することが大切といえます。資格を取ったあとも防災訓練に参加したり、自治体や企業と協力する場を増やしたりすることが必要です。
参考:日本防災士機構『有賀 元栄(長野県防災士) 辰野町防災士連絡協議会長』
防災士になるには?資格取得の流れ

防災士になるには、指定の研修講座を受講し、試験に合格した後、救急救命講習を修了し、認証登録を行う必要があります。
それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
「防災士養成研修講座」を受講する
防災士になるためには、まず「防災士養成研修講座」を受講する必要があります。この研修では、災害時に必要な知識や対応力を学べます。
研修は、日本防災士機構が認定する研修機関で実施されます。受講者は、事前学習と会場研修の両方を受けなければなりません。
事前学習では、防災士教本を使って地震や津波の基礎知識、避難計画の作成方法などを学びます。会場研修では、専門家による講義を受け、避難所運営のシミュレーションや災害対応の実践トレーニングを行います。
研修の内容は地域によって異なり、たとえば東京では首都直下地震を想定した訓練が重点的に行われます。受講料は研修を受ける機関によって異なりますが「防災士研修センター」で受講する場合、およそ5万円が必要です。
参考:防災士研修センター『資格取得費用について』
「防災士資格取得試験」に合格する
研修を修了した後は、防災士資格取得試験を受ける必要があります。この試験に合格すると、正式に防災士として認定される資格を取得できます。
試験は三者択一のマークシート方式で、全部で30問出題されます。合格基準は24問以上の正解(80%以上)とされており、事前学習をしっかり行っていれば、十分に合格できるレベルです。
合格率は高く、試験対策としては、公式の過去問題集を活用するのが有効です。また、YouTubeで公開されている心肺蘇生法の実技動画を参考にするのもよいでしょう。もし不合格になった場合でも、追加の支払いなく再受験が可能です。
参考:防災士研修センター『資格取得費用について』
「救急救命講習」を受講する
防災士として活動するためには、救急救命の知識と技術を持っていることが求められます。そのため、資格取得の過程で救急救命講習の修了が必須となっています。
救急救命講習は、消防署や日本赤十字社が実施しており、普通救命講習I(成人対象・3時間)と同等のものが受講対象となります。
救急救命講習の修了証は、発行から3年間有効で、継続的に学び直すことが推奨されています。なお、医師や救急救命士などの資格を持っている場合は、この講習が免除されることがあります。
参考:東京消防庁『応急手当講習会 救命講習のご案内』
「防災士認証登録申請」をする
最後のステップとして「防災士認証登録申請」を行います。これにより、正式な防災士として認定され、資格証が交付されます。
申請には「防災士認証登録申請書」と「救急救命講習修了証」が必要です。加えて、証明写真(3cm×2.4cm)を準備し、日本防災士機構に提出します。申請は、研修機関を通じて代行してもらうことも可能です。
申請から資格証が届くまでの期間は約1ヶ月です。申請料は5,000円で、これを支払うことで正式に防災士として登録されます。資格取得後の更新はありませんが、防災士として長く活動するためには、継続的な学習を欠かさないようにしましょう。
防災士に関するよくある質問
防災士資格を取得する際や、資格を持ち続ける上で、さまざまな疑問を持つ方がいます。特に「年齢制限があるのか?」「資格の更新が必要なのか?」といった点は、多くの人が気になる部分です。
ここでは、それぞれの疑問について詳しく解説します。
防災士資格の取得に年齢制限はある?
防災士の資格には年齢制限がなく、誰でも取得できます。ただし、防災士の研修内容は成人向けに作られているため、一般的には中学生以上の受験が推奨されています。
これは、研修や試験で扱う内容が専門的であり、避難所の運営や救命処置など、実践的なスキルが必要になるためです。また、救急救命講習では実技が必須となるため、体力的な負担も考慮する必要があります。
実際には、小学生が保護者同伴で防災士の資格を取得した例や、80歳を超えても防災活動を続けている人もいます。
学ぶ意欲と実践できる環境があれば、幅広い年齢層の方が取得できる資格です。防災士としての活動を考える際は、自身の状況や体力を考慮しながら受験を検討するのがよいでしょう。
防災士の資格は更新が必要?
防災士の資格は、一度取得すれば更新の必要がない終身資格です。そのため、期限を気にせずに活動を続けることができます。
ただし、防災の知識や技術は日々進化しているため、最新の防災対策を学び続ける必要があります。特に、大規模災害の発生を受けて新たな避難ルールや支援制度が整備されることもあり、継続的な学習は欠かせないでしょう。
日本防災士会では、オンライン講習を通じて最新の防災情報を学べる機会を提供しています。これは義務ではありませんが、スキルを維持し、より実践的な防災活動を行うために役立つ内容となっています。
資格を取った後も、定期的に防災知識をアップデートし、地域の防災に貢献できるよう準備しておくことが大切です。
参考:日本防災士会『スキルアップ研修』
まとめ
防災士は、災害が発生する前から地域や職場で防災意識を高め、実際の対応にも関わる重要な存在です。記事の内容を振り返り、ポイントを整理します。
- 防災士は平常時と災害時の両方で活躍し、防災訓練や避難誘導をリードできる
- 資格取得には研修・試験・救急救命講習が必要だが、年齢制限はなく誰でも挑戦できる
- 防災士資格は更新不要の終身資格だが、最新の知識を学び続けることが推奨されている
防災士としての知識やスキルを身につけることで、あなたの大切な人や地域を守る力を高められます。今こそ、防災士資格の取得を検討し、防災訓練や地域の活動に参加してみましょう。
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証券会社勤務後、広告代理店兼防災用品メーカー勤務。経営管理部を立ち上げ、リスクマネジメント部を新たに新設し、社内BCP作成に従事。個人情報保護、広報(メディア対応)、情報システムのマネジメント担当。NPO事業継続推進機構関西支部(事業継続管理者)。レジリエンス認証の取得、更新を経験。レジリエンス認証「社会貢献」の取得まで行う。レジリエンスアワードとBCAOアワードの表彰を受ける。現在では、中小企業向けBCP策定コンサルティング事業部を立ち上げ、コーディネーターとして参画。