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お子さんや介護対象者に対しての防災訓練

出水 眞由美

出水 眞由美

介護施設は勿論ですが、お子さんが居る家庭等で、お子さんや介護対象者に対して防災の意識を広めていくためにどうするべきか。今回は、家族全員が防災士の資格を持つ出水さんにお伺いしたいと思います。

ーー出水さん、よろしくお願いします。まずは出水さんご本人はもちろん、ご家族全員が防災士の資格をお持ちとのことで。

よろしくお願いします。
そうなんです。夫と、中学生の子供と私で防災士家族です(笑)

ーー他にそんなご家族はいらっしゃらないかもしれません。防災士資格は、どのようなきっかけで取得されたのでしょう?

やっぱり、自分自身の子育て経験が大きかったですね。働いて、家庭を持ち、子供が生まれたことで視点が変わりました。今までも防災訓練に携わったことはあったが、マニュアル通りにつつがなく進行する訓練。それって訓練じゃないですよね、つつがなく終わることが目的のようになっているんですから。
それでも「自分ひとりならなんとかなる」と思っていたのが、生まれたての我が子と時間を過ごす中で「自分だけじゃダメなんだ」と気付いていく。「守られている存在」から「守る存在」にチェンジしたことが、防災に関心を持つキッカケでした。
あとはやっぱり、2011年の東日本大震災は大きかったですね。私は被災していませんが、ショックを受けた方は多いと思います。東日本大震災では、小さなお子さんが1000人ほど亡くなっているんです。深夜・朝方ではなく、”家族が全員違うところにいる時間帯”に大災害が起きた。自分が何か助けることのできる力や知識を持っていても、別の場所にいてはどうしようもない。そのことに無力感をおぼえ、ずっとモヤモヤしていたんですね。

ーーたしかに、離れ離れになっている状態での被災でした。子を持つ母親として、考えざるをえない出来事ですね。

また、防災のみならず、子育てと仕事を両立する難しさにも直面して。その中で、自分の生き方をしっかり考えるようになったのもこの時期ですね。ちょうどこの時期が2014年、私が代表を務める「ママ友ドットコム」を立ち上げました。
本来は、お母さん同士がお互いに子育てを助け合えるようなコミュニティですが、何かのタイミングでさっきのモヤモヤを話してみたんです。すると、メンバーがみんな共感・賛同してくれた。親だけじゃなく、子供も自ら学べる機会をつくろうよ!と「おやこ防災サロン」という取り組みを始めたんです。

ーーお子さんと一緒に、家族みんなで学べる取り組み。

初めてのおやこ防災サロンは、消防署の方と一緒に開催させていただきました。そして2017年には防災士の資格を取得。それまでは、夫が持っていたんです。まちづくりに関する仕事をしていたのもあり、夫はいち早く取得していたのですね。

ーーご家族の中では、旦那様が最初の防災士だったんですね。

ある日、「お父さんがどんな仕事をしているか見に行こう!」と子供を連れて、夫の防災士として活動している仕事現場を見に行ったんです。家ではのほほんとしているような夫が、集まった地域住民に対してすごく熱心に語りかけていた。私も驚いたんですけど、それ以上に息子が驚いたようで。そんなパパに憧れて、息子も防災士になりたい!と。
そして息子と私とで、防災士の資格を取得しに行きました。半年ほどで無事合格し、家族全員が防災士の資格を持った防災家族になりました。当時の息子が9歳なので、おそらく防災士史上最年少ですね。

ーーお父さんに憧れて、息子さんも。防災士の資格を取得して以来、防災に関する活動は増えていきましたか?

親子防災サロン、地域を超えて学べる防災カレッジの他にも、防災に関する取り組みは増えました。座学中心ではなく、体験をベースに防災を学べないかと考えたのが「防災クッキング」です。子供防災レストラン、というコンセプトで活動しています。
「いつも」と「もしも」という2つのパターンに分けて、子どもと一緒に考えます。「いつも」なら、お母さんの作った料理が好きなだけ食べられる。じゃあ「もしも」の場合は?というのを、子供たちと一緒に考えていくんです。電気・ガス・水が使えない中でできる料理ってあるのかな?とか。実際にやってみる・つくってみるといった体験をベースにしているので、満足度の高い企画の1つです。
他にも「防災まち探検」では、子供たちと一緒に街を歩きながら、防災に関する知識を身に付けていくイベント。役に立ちそうなものを見つけてきたり。備蓄倉庫の中に何があるのか確認したり、自分たちの視野には入っているが注目されていない、街中に埋もれている防災用品を見つけていくコンテンツです。

ーーさまざまなコンテンツを通して、防災の取り組みをされているのですね。ママ友同士で協力しあい、親子で学べるという点は大きいですね。

そうですね、もし自分の手を離れているときに災害が起きて、子どもに少しでも知識があれば助かるかもしれない。子供は嫌いなことは覚えませんから、それをいかに楽しく、みんなと一緒に遊びながらできるかに力を入れています。

ーーありがとうございます。次回はそんな出水さんに、家族や身の回りの人に対してどう防災の意識を広げていけばいいのか?について、お聞きしていきたいと思います。

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就労・自立支援施設、障害児支援施設、発達障害・不登校児支援施設等での防災教育活動及び職員向け防災研修、BCP策定などの経験が多数ございます。