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2025/06/05

食料備蓄1ヶ月分リスト|必要量から保存のコツまで解説

西條 徹

西條 徹

食料備蓄1ヶ月分リスト

災害に備えて食料備蓄を始めたいけれど「1ヶ月分のリストってどう作ればいいの?」「どう保存したらいいの?」とお悩みではないですか?

本記事では、1ヶ月分の備蓄が必要な理由から、具体的な食品リスト、保存のコツまでを詳しく解説します。

この記事を読めば、もう備蓄で迷うことはありません。あなたのご家庭にぴったりの備えが具体的にわかり、もしもの時も余裕を持って過ごせるようになります。

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食料備蓄1ヶ月分リストの考え方

食料を備蓄するには、いくつかの基本的な考え方があります。

まずは、1ヶ月分の備蓄が必要な理由、備蓄する際の基本的なルールについて、わかりやすく解説します。

なぜ「1ヶ月分」が必要なのか?

災害時に備える食料は、1ヶ月分あると非常に心強いです。大きな災害が起こると、電気や水道、ガスといったライフラインが止まってしまう可能性があります。とくに水道の復旧には1ヶ月以上かかる場合も考えられます。

お店に物が届かなくなり、スーパーやコンビニから食料がなくなってしまう事態も起こり得るでしょう。大規模な地震の発生後、物流が混乱して食料品が手に入りにくくなった事例もあります。病気の流行で外出を控える期間が長くなるかもしれません。

こうした予期せぬ事態にしっかりと備えることで、心に余裕が生まれます。だからこそ、1ヶ月分の食料を備えておくことが推奨されるのです。

備蓄の基本原則:量・栄養・多様性

食料を備蓄するうえで大切なのは「量」「栄養」「多様性」の基本原則です。災害時でも健康を維持するためには、このバランスが欠かせません。

まず、ご家族が生活するために十分な「量」の水と食料を確保することが第一歩です。

次に、体の調子を整える「栄養」も重要になります。お米や麺類といった主食に加えて、お肉や魚の缶詰、野菜ジュースなどをそろえて、バランスの良い食事を心がけましょう。

そして、食事に変化をつける「多様性」も忘れてはいけません。食べ慣れている味や、好きなお菓子があると、不安な気持ちが和らぎます。

この3つの原則を守ることで、もしもの時にも役立つ、質の高い備蓄が実現できるでしょう。

【完全保存版】食料備蓄1ヶ月分リスト

いざというときに備えて、具体的にどんな食料をどれくらい準備すれば良いのでしょうか。ここでは、1ヶ月分の食料備蓄リストをカテゴリー別に詳しく紹介します。

このリストは大人2人分を目安にした一例です。乳児用・高齢者用食品の必要量は個人差があるため、ご自身の環境に合わせて内容を調整してください。

主食からおかず、飲み物、そして特別な配慮が必要な方のための食品まで、10の項目に分けて解説します。

参考:農林水産省『緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド

主食(米・パックご飯・麺類・パン)

主食は体のエネルギー源になるため、最も重要な備蓄品です。体を動かすための炭水化物をしっかり摂ることで、体力の消耗を防げます。

  • お米(目安:10kg):備蓄の基本です。無洗米なら、研ぐための水を節約できて便利です。
  • パックご飯(目安:20〜30食分):そのままでも食べられるタイプが便利です。
  • カップ麺・袋麺(目安:20〜30食分):お湯だけでなく、水でも時間をかければ食べられる商品もあります。
  • 乾麺(パスタ・うどん等、目安:10〜15食分):長期保存が可能で、備蓄のバリエーションが豊かになります。
  • パン・乾パン(目安:数日分):長期保存できる缶詰パンや、調理不要の乾パンはすぐに食べられて役立ちます。

これらをバランス良く組み合わせ、普段の食事に近い主食を備えておきましょう。

主菜(レトルト食品・缶詰)

主菜として、調理が簡単なレトルト食品や缶詰を準備しておきましょう。肉や魚に含まれるタンパク質は、体を作る大切な栄養素です。大人2人が1日2食で主菜を食べるとして、合計120食分を目標に、以下のものを組み合わせます。

  • 肉・魚・豆などの缶詰(目安:約60食分):サバのみそ煮缶や焼き鳥缶のような味付きのものは、開けてすぐに食べられます。プルトップ式の缶詰なら、缶切りもいりません。
  • レトルト食品(カレー・丼など、目安:約60食分):温めずに食べられるタイプを選ぶとさらに便利です。
  • 常温保存できる牛乳や豆腐:貴重なタンパク源として数パックあると役立ちます。

これらの食品を備えて、毎日の食事にタンパク質を必ず取り入れられるようにしてください。

副菜・汁物(フリーズドライ・乾物・野菜缶・日持ち野菜)

ビタミンや食物繊維を補うために、副菜や汁物の備えも欠かせません。災害時は食事が偏りがちなので、体の調子を整える栄養素を意識して摂ることが健康維持につながります。

  • フリーズドライの味噌汁・スープ(目安:60食分):1日1杯と換算。お湯を注ぐだけで作れ、体を温めてくれて心も落ち着くでしょう。
  • 野菜缶(コーン・トマト等、目安:10〜15缶):手軽に野菜を摂れて便利です。
  • 乾物(乾燥わかめ・切り干し大根など、目安:各数袋):水で戻すだけで簡単に使えます。
  • 日持ちする野菜(じゃがいも・玉ねぎなど):普段から少し多めに買っておくローリングストックが有効です。

温かい汁物や野菜を取り入れて、栄養バランスの取れた食事を目指しましょう。

果物(缶詰・ドライフルーツ)

デザートや間食として、長期保存できる果物も備蓄に加えてください。果物の甘みは、ストレスがかかる災害時の心を和らげてくれます。

  • 果物缶詰(みかん・桃など、目安:10〜15缶):2日に1缶程度の計算です。皮をむく手間がなく、すぐに食べられて便利です。
  • ドライフルーツ(レーズン・マンゴーなど、目安:数袋):軽くて保存しやすく、食物繊維も豊富です。
  • 日持ちする果物(りんごなど):普段から買い置きしておくのも良いアイデアです。

こうした果物を備えておくことで、食事に彩りと心の潤いをプラスできるでしょう。

調味料(塩・砂糖・しょうゆ・味噌・だし)

普段使っている基本的な調味料は、通常のストックに加えて、それぞれ予備を1本ずつ多めにストックしておきましょう。

限られた食材でも、調味料があれば味に変化をつけられます。食べ慣れた味は、非常時の大きな安心材料になります。

塩や砂糖、しょうゆ、味噌などは賞味期限が長いものが多く、ストックしやすいです。

とくに砂糖のような甘いものは、気持ちを落ち着かせる効果も期待できるでしょう。ふりかけやジャムなども、単調になりがちな食事を豊かにしてくれます。

水(飲料・調理用)

水は生命を維持するために最も重要なので、最優先で備蓄してください。飲むための水は大人1人あたり1日1リットル、料理に使う分も考えると1日合計3リットルあると安心です。

  • 飲料水・調理用の水(目安:大人2人で約180リットル):2Lペットボトルで90本相当になります。長期保存できるものを選びましょう。

お風呂の残り湯をためておけば、トイレを流すなどの生活用水として活用できます。命を守るために、十分な量の水を必ず確保しておくようにしましょう。

嗜好品(お菓子・インスタント飲料・飴)

心の栄養として、お菓子や好きな飲み物などの嗜好品も忘れずに備えましょう。これらは必須ではありませんが、災害時の大きなストレスを和らげるのに役立ちます。

  • お菓子・飴(目安:数箱・数袋):チョコレートやビスケットなど、ご家族のお好きなものを。
  • インスタント飲料(コーヒー・お茶など、目安:数箱):ほっと一息つける時間を作ることが、心の健康を保つうえで大切です。

「心の非常食」として、ローリングストックしやすいものをいくつか用意しておくことをおすすめします。

栄養補助(カロリーメイト・プロテインバー・サプリ)

食事だけでは不足しがちな栄養を補うため、栄養補助食品も準備しておくと安心です。災害時の食事は炭水化物に偏りがちなので、体調を崩さないためにも重要です。

  • バランス栄養食(目安:1週間分程度):ビタミンやミネラルを手軽に補給できます。
  • プロテインバー(目安:1週間分程度):不足しがちなタンパク質を効率良く摂るのに役立ちます。
  • サプリメント:普段から飲んでいるものがあれば、それも忘れずに備蓄に加えましょう。

これらの補助食品を活用して、非常時でも体の調子を整えられるように備えてください。

乳児用食品(離乳食・粉ミルク・ジュース)

赤ちゃんがいるご家庭では、専用の食品を必ず別に備蓄してください。赤ちゃんは大人と同じものを食べられません。

  • 粉ミルク・液体ミルク(目安:最低でも1〜2週間分多めに):お湯がなくてもすぐに使える液体ミルクはとくに便利です。
  • ベビーフード(目安:1〜2週間分多めに):月齢に合わせたものを数種類用意しましょう。
  • 水:ミルクを作る分も考えて、大人の分とは別に多めに備蓄が必要です。

アレルギー対応のミルクなどが必要な場合は、さらに入念な準備を心がけてください。

高齢者用食品(やわらか食・介護対応食品)

ご高齢の方がいる場合は、食べやすさに配慮した食事を用意することが大切です。災害時のストレスで食欲が落ちたり、硬いものが食べにくくなったりすることがあります。

  • レトルトのおかゆ(目安:90食分):消化が良く、温めなくても食べられます。
  • 介護食(目安:90食分):最近では味も見た目も普段の食事に近いものが豊富です。常温で食べられるものを選びましょう。
  • とろみ剤(目安:90食分):水分を摂るためにとろみは必須です。

持病がある方のための治療食や、アレルギー対応食も忘れずに準備してください。

備蓄の管理・保存・収納のコツ

備蓄の管理・保存・収納のコツ

食料の備蓄は、準備して終わりではありません。せっかくの備えをいざというときにしっかり役立てるためには、日ごろからの上手な管理がとても重要です。

ここでは、無理なく続けられる管理方法、賞味期限のチェック、そして最適な保管場所の選び方について解説します。

ローリングストックで無理なく無駄なく

備蓄管理には「ローリングストック法」が最も効果的です。普段の生活の中で自然に備蓄ができるため、無理なく続けられ、食品の無駄も防げるからです。

やり方は簡単です。缶詰やレトルト食品など、日持ちする食べ物をいつもより少し多めに買っておきます。そして、賞味期限が古いものから普段の食事で食べていき、食べた分だけ新しく買い足すのです。

こうすると、特別な非常食を買うよりも費用を抑えられますし、災害時にも食べ慣れた味で安心できるでしょう。この方法を取り入れて、賢く、無駄のない備蓄を習慣にしてください。

賞味期限の把握と交換のタイミング

備蓄品を無駄にしないためには、定期的な賞味期限の確認と交換が不可欠です。

食品には必ず食べられる期限があります。期限が切れてしまうと、いざというときに食べられなかったり、お腹を壊したりする原因になりかねません。

たとえば、年に一度「防災の日」などを目安に、家族みんなで備蓄品をチェックする日を決めると良いでしょう。賞味期限が近いものを見つけたら、普段の食事でおいしく食べてください。食べた分は次の買い物で忘れずに補充します。

マジックペンで容器に大きく日付を書いておくと、管理がしやすくなるのでおすすめです。このように計画的に消費と補充を繰り返すことで、常に新しい備蓄を保つことができます。

保管場所の選び方【湿度・温度・分散】

備蓄した食料は、適切で安全な場所に保管することが非常に重要です。

保管場所が悪いと、食品が傷んでしまったり、災害時に取り出せなくなったりする恐れがあるからです。

ポイントは、家の中の複数箇所に「分散」して置くことです。キッチンの棚と玄関の収納など、2か所以上に分けておけば、万が一どちらかが使えなくなっても安心です。

保管する際は、温度や湿度が高くならず、直射日光が当たらない涼しい場所を選びましょう。中身が見えるケースに入れておくと、何がどこにあるか一目でわかって便利です。

保管場所を工夫して、大切な備蓄品を良い状態で守り、いざというときに確実に使えるようにしましょう。

よくある質問(Q&A)

食料備蓄の基本的な考え方やリストについて、理解が深まったでしょうか。ここからは、皆さんがとくに疑問に思うであろうポイントについて、Q&A形式でわかりやすくお答えします。

今回は「ローリングストック向きの食品」「防災バッグに入れる食料」「いらなかったもの」という3つの質問に回答します。

ローリングストックに向いている食品は?

普段から食べ慣れていて、常温で長期間保存できる食品が向いています。

災害時には食べ慣れた味が心の支えになりますし、冷蔵庫が使えなくなる可能性も考えておく必要があるからです。

たとえば、お米やパスタ、レトルトのご飯などが主食としておすすめです。おかずには、サバの味噌煮缶のような味付きの缶詰や、カレーのレトルトパックなどが良いでしょう。これらは調理せずにすぐ食べられます。

野菜ジュースや果物の缶詰、日持ちする玉ねぎなども普段から少し多めに買っておくと、栄養バランスを補うのに役立ちます。家族みんなが好きなものを選んで、無理なく消費と補充を繰り返せるようにしましょう。

防災バッグに入れる食料は?

防災バッグには、調理が不要で、軽くてかさばらない食料を入れるのが基本です。

避難する際は、重い荷物を持っていると素早く動けません。また、避難先ですぐに火や水が使えるとは限らないからです。

具体的には、袋に入ったパンや乾パン、そのまま食べられるレトルトご飯などが適しています。重い缶詰よりも、袋に入ったレトルト食品の方が持ち運びに便利です。

カロリーメイトのような栄養補助食品や、アミノ酸のサプリメントも、軽くて効率よく栄養を摂れるのでおすすめです。

500mlのペットボトルの水も、最低1本は必ず入れておきましょう。避難時の体の負担を考え、すぐにエネルギーになる軽量な食料を厳選して準備してください。

防災グッズでいらなかったものは?

防災グッズの中には、準備したけれど実際にはあまり役立たなかった、という声が聞かれるものもあります。

使うのに特別な技術が必要だったり、災害時の状況に合わなかったり、もっと安全で便利なもので代用できたりするものは不要になりがちです。

たとえば、ろうそくは火事の危険があるため、LEDライトの方が安全です。カップ麺はお湯を沸かす必要があり、断水時には調理が難しいでしょう。

手で回して充電するラジオも、疲れる割に少ししか充電できないことがあります。重くてかさばる毛布より、軽くて温かいアルミシートの方が避難時には便利です。

このように、実際に使う場面を想像して、本当に役立つかどうかを考えてグッズを選ぶことが、賢い備えにつながります。

関連記事:避難所に持って行かない方がいいもの・持っていった方がいいものとは?

まとめ

この記事では、1ヶ月分の食料備蓄の考え方から具体的な品目リスト、そしてローリングストックを活用した管理のコツまでを解説しました。この知識を参考に、ぜひ今日から備えを始めてみてください。

万全の準備があるという事実は、もしもの災害時にもパニックになることなく、大切な家族と心穏やかに過ごせるという大きな安心感につながります。

まずは第一歩として、今日の買い物でいつもより一つ多く、お気に入りの缶詰やレトルト食品をカゴに入れてみましょう。その小さな一歩が、あなたとご家族の未来を守る大きな力になります。

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証券会社勤務後、広告代理店兼防災用品メーカー勤務。経営管理部を立ち上げ、リスクマネジメント部を新たに新設し、社内BCP作成に従事。個人情報保護、広報(メディア対応)、情報システムのマネジメント担当。NPO事業継続推進機構関西支部(事業継続管理者)。レジリエンス認証の取得、更新を経験。レジリエンス認証「社会貢献」の取得まで行う。レジリエンスアワードとBCAOアワードの表彰を受ける。現在では、中小企業向けBCP策定コンサルティング事業部を立ち上げ、コーディネーターとして参画。