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2024/10/29

避難所に持って行かない方がいいもの・持っていった方がいいものとは?

西條 徹

西條 徹

避難所持ち物

災害発生時、避難所での生活を余儀なくされる状況は突然やってきます。限られたスペースで多くの人が共同生活を送る避難所では、避難所に持って行かない方がいいものを見極めることが大切です。持ち物の選択を誤ると、避難所生活に支障をきたす可能性があります。

本記事では、避難所に持って行かない方がいいものと持っていった方がいいものを具体的に解説します。また、避難所と在宅避難のメリット・デメリットを比較し、災害状況に応じた適切な判断基準も紹介します。

この記事を読めば、避難所生活を少しでも快適に過ごすための準備ができるでしょう。ぜひ最後まで読んで、災害に備えてください。

避難所に持って行かない方がいいもの

避難所での生活では、限られたスペースを多くの人と共有します。そのため、持ち物の選択が重要になります。避難所に持って行かない方がいいものとしては、主に以下の3つが挙げられます。

  • 持ち運びが不便になるもの
  • 避難所で使用頻度が低いもの
  • みんなで共有できるもの

それぞれ詳しく解説します。

持ち運びが不便になるもの

避難時の荷物が重すぎると、迅速な避難の妨げになり、安全確保が難しくなります。

例えば、大きな音を発する機器類は、周囲の方の休息を妨げる可能性があるため避難所への持ち込みは避けたほうがよいでしょう。特に夜間や早朝の時間帯は、なおさら配慮が必要です。

特に、ポータブル発電機の避難所への持ち込みは避けるべきです。発電機からの排気ガスや騒音は、密閉された空間で深刻な問題を引き起こす可能性があります。また、燃料の保管も火災リスクを高める要因となるため、施設が用意した電源設備を共有して使用しましょう。

避難時の持ち物は、必要最小限のものに絞り、安全に避難しましょう。

避難所で使用頻度が低いもの

避難所生活で実際に役立たないものを持参すると、貴重なスペースの無駄遣いになります。

例えば、コンパスを持っていっても、おおまかな方角は分かるものの具体的な避難所の場所は特定できません。代わりに、施設周辺のハザードマップと携帯ラジオを用意することで、より確実な避難が可能になります。

また、乾パンは一般的な非常食として知られていますが、水分を多く必要とするため、断水時には適していません。高齢者にとって硬すぎる場合もあり、食べにくい可能性があります。

避難所での実用性を考慮し、本当に必要なものを見極めて準備しましょう。

みんなで共有できるもの

避難所では、可能な限り共有できるものは、個別に持ち込まず、みんなで共有しましょう。共有できるものを持ち込まないことで、避難所全体の荷物を減らし、スペースを有効活用できます。

例えば、トイレットペーパーやティッシュペーパー、洗剤などは、避難所である程度用意されている場合が多いです。また、食器や調理器具なども、共有できるものが用意されている場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

避難所では、助け合いの精神が大切です。共有できるものは持ち込まず、みんなで協力して生活しましょう。

避難所に持って行った方がいいもの

避難所生活を乗り切るために必要不可欠なアイテムがあります。ここでは、避難所で必要なものを3つのポイントで解説します。

  • 命を守る水と食べ物
  • 体調管理に欠かせない必需品
  • 暮らしを支える便利な道具

それぞれ詳しく見ていきます。

命を守る水と食べ物

命をつなぐために欠かせないのが、水と食料です。避難所では支援物資が届くまでの時間が読めないため、最低限の備えが重要になります。

500ミリリットルのペットボトルを2本以上用意しましょう。断水時に支援物資が届くまでの期間を乗り切るために必要な量です。

食料は栄養バランスを考えて選びます。レトルト食品や缶詰などの非常食を中心に、チョコレートやあめなどの糖分補給ができるお菓子も役立ちます。

避難所には通常、食料の備蓄がありますが、アレルギーや持病がある場合は自分に合った食品を持参することをおすすめします。

体調管理に欠かせない必需品

避難所では多くの人が集まるため、衛生管理が重要です。携帯トイレを持参することで、トイレの混雑や不足に対応できます。過去の災害では、仮設トイレの設置が遅れた例もあるため、携帯トイレは非常に役立ちます。

また、救急セットも必須です。避難所では怪我をするリスクが高まるため、応急処置ができるようにしておくことが大切です。

さらに、ストレスからくる体調不良に備えて、常備薬も必要です。避難生活でのストレスや環境の変化から体調を崩す可能性もあるため、健康維持のためのアイテムを準備しておきましょう。

暮らしを支える便利な道具

災害発生時は、停電になる可能性があります。そのため、情報収集や家族との連絡に不可欠なスマートフォンの充電を確保するために、モバイルバッテリーやポータブル電源を用意しておきましょう。

ポータブル電源は、スマートフォン以外にも、LEDランタンや小型扇風機など、様々な電化製品を使用できるため、避難生活をより快適にするために役立ちます。

ソーラーパネルを組み合わせると、電気の自給自足が可能になります。天候に左右されますが、長期の避難所生活でも比較的安定した電源確保ができます。

情報収集や家族との連絡手段を確保し、少しでも快適に過ごせるように、電源と通信機器の準備をしておきましょう。

避難の判断基準【避難所か在宅避難か】

避難の判断基準【

災害時は、適切な避難行動をとることが生死を分ける重要な判断となります。刻一刻と変化する状況の中で冷静に状況を判断し、避難所へ行くべきか、あるいは自宅で在宅避難をするべきか、適切な選択をする必要があります。

ここでは、避難所のメリット・デメリット、在宅避難のメリット・デメリットを比較し、災害状況に応じた選択について解説します。状況に合わせた判断をできるようにしておきましょう。

避難所のメリット・デメリット

避難所生活には、安全性と支援体制の充実という大きな利点があります。耐震基準を満たした頑丈な建物で、建物の倒壊リスクはほぼありません。また、周囲の人々との共同生活により、孤立を防ぎ、必要な支援やサポートを受けやすい環境が整っています。

一方で、避難所生活ならではの課題も存在します。プライバシーの確保が難しく、一人あたりの生活スペースも限られています。また、大勢の人が集まる環境のため、感染症のリスクも高まります。さらに、共同生活を円滑に進めるためのルールも多く存在します。

避難所に持って行かない方がいいものを把握し、必要最小限の持ち物で避難することで、限られたスペースを有効活用しましょう。

在宅避難のメリット・デメリット

在宅避難の最大の利点は、普段の生活環境を維持できることです。プライバシーが守られ、慣れ親しんだ空間で過ごせるため、精神的な負担も軽減されます。また、感染症のリスクも避難所と比べて低く抑えられます。

ただし、在宅避難を選択する場合は、十分な備えが不可欠です。電気・ガス・水道といったライフラインの復旧には長期間を要する可能性があります。阪神淡路大震災では、電気の復旧に6日、水道の復旧に90日もの期間がかかりました。

食料や携帯用トイレ、カセットコンロなど、最低1週間分の備蓄品を用意しましょう。

参考:神戸新聞NEXT『データで見る 阪神・淡路大震災

災害状況に応じた選択を

避難所か在宅避難かの判断は、建物の安全性と生活継続の可能性から決定します。自宅や周辺に倒壊・火災・浸水の危険がある場合は、迷わず避難所へ移動する必要があります。

また、要介護者や高齢者、障がいのある方など、サポートを必要とする方がいる場合も避難所での生活を検討すべきです。周囲からの支援を受けやすい環境で、安全な生活を確保できます。

自治体から出されている避難判断のフローチャートも参考に、状況に応じた適切な選択をしましょう。

よくある質問

避難所での生活に関して、多くの方が不安や疑問を抱えています。特に以下のような質問が数多く寄せられています。

  • 女性は避難所に行かない方がいい?
  • 避難所でいらなかったものは何ですか?

以下で具体的に解説します。

女性は避難所に行かない方がいい?

女性が避難所に行くことに抵抗を感じる理由は多々ありますが、住居が被害を受けている場合は避難所を利用する必要があります。避難所での生活を少しでも快適にするために、持参するアイテムを工夫しましょう。

例えば、生理用品やスキンケア用品は必需品です。これらは避難所での生活を快適にするために欠かせません。また、防犯ブザーや小型ライトも持参すると安心です。特に夜間の移動や不安を感じる場面で役立ちます。

赤ちゃんと一緒に避難する場合は、授乳ケープも忘れずに準備してください。これらのアイテムを持参することで、避難所での生活を少しでも快適に過ごしましょう。

避難所でいらなかったものは何ですか?

避難所に持って行かない方がいいものの代表例は、かさばる防災グッズです。大型テントや毛布は持ち運びが困難で、避難行動の妨げになります。代わりに、コンパクトな簡易テントやアルミシートを選びましょう。

また、お湯が必要なインスタントラーメンも避難所では使いづらい食品です。電気やガスが使えない状況では調理できないため、すぐに食べられる缶詰やレトルト食品が実用的です。

火災の危険があるろうそくも避難所には不向きです。代替品として、手回し充電式のランタンが便利です。ティッシュペーパーは水に流せないため、水溶性タイプか携帯用トイレットペーパーを選択します。限られたスペースを有効活用し、必要最小限の持ち物で避難生活を送りましょう。

まとめ

避難所に持って行かない方がいいものは、持ち運びが不便なもの、使用頻度の低いもの、共有できるものです。これらを把握しておくことで、避難時の負担を軽減できます。大きな荷物や不要なものは避け、必要最小限の持ち物で避難しましょう。

避難所では、命を守るための水や食料、体調管理に必要なアイテムが欠かせません。さらに、情報収集や連絡手段を確保するための準備も大切です。

災害時に備えて、今から必要な物資を確認し、適切な準備を進めていきましょう。避難所生活を少しでも快適に過ごせるよう、しっかりと備えてください。

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証券会社勤務後、広告代理店兼防災用品メーカー勤務。経営管理部を立ち上げ、リスクマネジメント部を新たに新設し、社内BCP作成に従事。個人情報保護、広報(メディア対応)、情報システムのマネジメント担当。NPO事業継続推進機構関西支部(事業継続管理者)。レジリエンス認証の取得、更新を経験。レジリエンス認証「社会貢献」の取得まで行う。レジリエンスアワードとBCAOアワードの表彰を受ける。現在では、中小企業向けBCP策定コンサルティング事業部を立ち上げ、コーディネーターとして参画。